mrubyとマイコンボードで“IoTを手作り”してみよう:mruby概論(3)(3/3 ページ)
生産性が高く習得も容易なRubyの組み込み版「mruby」用い、実際にマイコンボード「enzi」との組み合わせで、取得したセンサーデータをTCP/IPでサーバへ送るIoTデバイスの開発を行います。
mrubyを取り巻く環境とこれから
mrubyは進化を続けています。一例としてエナジーハーベスト研究の一環として九州工業大学 田中准教授が進めている「省メモリ版VM」があります。現在のmruby VMよりさらに小さく64Kでの動作を可能にしています。この研究はIoT、M2Mで考慮する必要のあるバッテリー関連の課題解決の糸口になると期待されています。またこのVMは立ち上がりが早いことから、短周期で利用して疑似マルチスレッドに応用するというアイデアも生まれています。
福岡県はmrubyを長年支援してくれています。2015年には新たに福岡県新産業振興課が主導し「軽量Ruby・実用化促進ネットワーク」が立ち上がります。mrubyの事業化支援組織としては、まつもとゆきひろ氏が理事長を務める「特定非営利活動法人 軽量Rubyフォーラム」もありますが、福岡県の軽量Ruby・実用化促進ネットワークは技術者レベルでの情報交換、共有を目的としたコミュニティーと位置付けられます。
軽量Ruby普及・実用化促進ネットワークと軽量Rubyフォーラム、いずれも会員を募集していますので、ご興味ある方は、軽量Rubyフォーラムおよび福岡県Ruby・コンテンツ ビジネス振興会議をご覧下さい。NPO軽量Rubyフォーラムではmruby無料体験セミナーを毎月第一土曜日に開いています。こちらも詳しくはHPをご覧ください。
mrubyはルータなどのネットワーク機器や自動販売機、POSレジ、ゲーム、Webサーバの処理支援、人工衛星、農業、海洋デバイスなどさまざまな分野、さまざまな製品・サービスへの適用が始まっています。IoT時代の新しい組み込み開発言語として目が離せないことは間違いありません。
お知らせ
「軽量Ruby・実用化促進ネットワーク」設立総会が2015年7月23日(木)、福岡にて行われます。Ruby開発者 Matzとのトークセッションやmrubyライブコーディング、mrubyのリファレンスボードである「enzi」が当たる抽選会もあるようです。詳しくはこちら 軽量Ruby普及・実用化促進ネットワーク設立記念講演会・交流会をご参照ください。
今回紹介した「enzi」を販売しているManycolorsが2015年8月1日〜2日に開催される「Maker Faire Tokyo」に出展します。enziの他にenzi miniやセンサーボードも出展とのことです。詳細はこちらをご参照下さい。
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