“組み込みRuby”こと「mruby」をセットアップしてみよう:mruby概論(2)(1/3 ページ)
Rubyの特長を組み込み開発に反映させたプログラミング言語が「mruby」です。今回は実際のセットアップと基本的な構文について解説します。
IoT開発にはmruby
“シリコンバレーで働きたければRubyかPHPを学べ!”
シリコンバレーのスタートアップ企業の多くが(創業当時のTwitterやSalesforce、現在ではGoogle Sketchup、Github、Heroku、INDIEGOGOなど)、日本では楽天、価格ドットコムなどがRubyを採用しています。
これら企業に共通しているのはビジネスのスピードが速く、サービス・機能などを次々と改修/追加することで成長している点です。Rubyは生産性が高く使いやすいことからこのようなプロトタイピングや研究・開発といった試行錯誤が必要とされる開発に向いています。
mrubyも同様です。Rubyの持つ「書きやすく、習得しやすい」という特長はそのまま、組み込み開発向けに開発されたmrubyは、組み込み開発におけるプロタイピングや試行錯誤の必要なIoT開発に適しています。
とはいえ向き不向きがありますので、今までのC言語で作られた資産(ハードウェア制御など)はそのままに、その上のIoTアプリケーション部分、情報制御部分をmrubyで開発することになるでしょう。
mrubyのネットワークやデータベースアクセスに強く、高い生産性を持つという特長と、既存資産であるC言語による開発、双方を組み合わせることで、IoTサービス・機能のスピード感あふれる開発が可能となるのです。
mrubyを使ってみよう
mrubyは現在安定板としてmruby v1.1.0デバッガ対応版が公開中(2015年7月現在)で、「mrubyコミュニティー」と「軽量Rubyフォーラム」、それに「GitHub」からダウンロード可能です。
ちなみに、Gitツールをインストール済の場合は
$ git clone https://github.com/mruby/mruby.git
とすればOKです。
mrubyのビルドには以下のものが必要です。
・Cコンパイラ(gcc推奨)
・Bison(yacc上位互換のパーサジェネレータ)
・Ruby(本家Ruby)
Windowsユーザーならば、Cコンパイラは無償版のMicrosoft Visual Studio 2013 Expressが利用できます。「Express2013 for windows desktop」をダウンロードしてきましょう。
ビルドしてみよう
mrubyディレクトリに移動して、makeを実行します
$ cd mruby $ make
Visual Studioを利用するWindowsユーザーはVisual Studioツールから“開発者コマンドプロンプト for VS2013”を開き、下記を実行します。
>ruby minirake.
ビルドが完了すると下記の構成で作成されます。
bin/mrbc mrubyコンパイラ
bin/mruby mrubyインタプリタ
bin/mirb Interactive mruby
bin/mrdb mrubyデバッガ
build/host/lib/libmruby.a mrubyライブラリ
それでは、それぞれを説明しましょう。
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