眠った技術がみんなのアイデアで新規事業に大変身:オープンイノベーション(2/2 ページ)
富士通SSL、富士通総研、AIZACの3社は、新たな商品開発や事業創出を具体化するプラットフォーム「クラウデッド・イノベーションフィールド」の構築を発表。この仕組みの活用の第1弾として、和歌山大学 天野敏之 准教授が開発した「プロジェクタとカメラを用いた見かけの操作技術」のビジネス化に向けたアイデアコンテストを実施する。
「見かけの操作技術」とは?
今回第1弾のコンテストとしてビジネス化のアイデアを募る、プロジェクタとカメラを用いた見かけの操作技術は、富士通SSLと和歌山大学が共同開発したものだ。身の回りにあるさまざまなモノの「見かけ」は、反射特性だけではなく、照射される光でも変化する。この性質に着目し、画像を投影するプロジェクターと物体を撮影するカメラを用いた光学フィードバックにより、現実世界の見た目を瞬時に、かつ連続的に置き換える技術だという。
同技術には独自の画像処理アルゴリズムを利用して、操作目標(カラー写真や色彩がある身の回りの小物)の色彩やコントラスト、質感などを変化させることができ、現実世界に情報を提示するだけでなく、超現実的な見かけ操作や視覚能力の補助も実現するとしている。
同技術の活用アイデアの応募は、MONOFundingから会員登録を行えば個人、チーム、企業など誰でも行うことが可能だ。募集期間は2015年7月1日〜同年9月30日まで。その審査を経て同年10月30日に結果が発表される予定だ。
優勝者には賞金10万円が与えられる。その後、優勝アイデアをビジネス化する場合は、富士通SSLと協議の上、共同開発契約を締結する。契約内容は「富士通SSLなどとの共同事業化」「富士通SSLがアイデアがアイデアの使用料を支払う」「MONOFundingを利用して受賞者自身でビジネス化」など複数のパターンを選択できる。
富士通SSLは今後もクラウデッド・イノベーションフィールドを活用して、今回のような大学発の要素技術のビジネス化に加え、地方創生の事業支援などに取り組むとしている。
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