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オリジナル「ミニ四駆」ボディを手に入れよう!無償3次元CADによる「ミニ四駆」ボディ設計講座(1)(1/3 ページ)

タミヤの「ミニ四駆」を題材に、無償3次元CADでミニ四駆の“オリジナルボディ”を3Dモデリングし、3Dプリンタで出力するまでを解説する連載。第1回では、ミニ四駆のレギュレーションやシャーシの種類、実際に3Dモデリングを進める前に押さえておくべきポイントについて解説する。

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 MONOist読者の皆さん、こんにちは。志田穣です。

 以前、連載「3DCAD&3Dプリンタで機構を作る」において、ミニチュア椅子を3Dプリンタで作成するというテーマで、無償3DCAD(Autodesk Fusion 360)を使った3Dモデリング、機構の検討、部品ごとの3Dプリンタによる製作について紹介しました。最近では、「3Dモデラボ」主催の「モデ1GP」というワークショップで、3次元CADの講師なども務めております(画像1画像2)。


「モデ1GP」とは
画像1 「モデ1GP」とは、懐かしのスーパーカー消しゴムサイズのミニカーを3Dモデリングして、3Dプリントしたものをノック式ボールペン「BOXY」ではじくイベントだ
「モデ1GP」3次元CAD講習会の様子
画像2 「モデ1GP」3次元CAD講習会の様子

 さて今回の連載では、最近人気が再燃しているタミヤの「ミニ四駆」を題材に、無償3次元CADでミニ四駆の“オリジナルボディ”を3Dモデリングし、3Dプリンタで出力するまでを解説していきます。

ミニ四駆×3Dプリンタ

 ミニ四駆は1980〜1990年代の第1次ブーム。そして、1990年代半ばから後半にかけての第2次ブームを経て、今再びブレイクし、第3次ブームを迎えています。これは無論、以前のブームのときに子ども時代を過ごした世代が、大人になって購買力が増えたこと、家族を持ち親子二世代で参加するようになったことなどが理由として考えられます。

 ここまで読んだところで、MONOist読者であれば、既にこのような活動について思い至ったかも知れません。「Fabミニ四駆カップ」です。

 詳しくは、公式Webサイトの情報を見ていただければと思いますが、Fabツールを使ってデザイン/カスタマイズしたミニ四駆を用いて、ミニ四駆の公式大会さながらにレースを行います。前回大会「Fabミニ四駆カップ 2015 Spring」のリポート記事がMONOistにも掲載されていますが、個人でここまで作り込めるのか! と驚くレベルまで来ています(画像3)。

「Fabミニ四駆カップ 2015 Spring」
画像3 「Fabミニ四駆カップ 2015 Spring」の「マジFabクラス」に出場したミニ四駆の一部

 また、3Dデータを活用する会・3D-GANでも、「3Dプリンターでマイミニ四駆をつくろう!親子工作体験教室」を開催しています。この取り組みに関しては、3D-GANの理事を務める水野操氏の記事「3Dプリンタでマイミニ四駆を作る、親子教室」をご覧いただければと思います。

 このように先達がおられる中で、果たして2番せんじのテーマで記事を書くことに意味があるのか? とも自問しましたが、ミニ四駆ボディの3Dモデリングについては情報も少なく、初心者の方にとってハードルが高いように感じます。

 例えば、ミニ四駆のボディ(車種:フェスタジョーヌ)は、画像4のような形状をしています。

「フェスタジョーヌ」のボディ(筆者作)
画像4 「フェスタジョーヌ」のボディ(筆者作)

 これを半日で3Dモデリングできる方は、相当な「手練れ」です。筆者が講師を務めたイベント(モデ1GP)では、「初心者の方でも2時間で何とかレギュレーションに沿った形を作れる!」を前提に、無償3次元CADの基本的なコマンドで形を仕上げることに注力しました。

 また、3D-GANの体験教室では、「2〜3時間でゼロから何かを作るのは当然難しいだろう」ということで、幾つかのミニ四駆ボディをあらかじめテンプレートとして用意しています。時間内で造形し終えないといけないことを考えると、至極妥当な判断といえるでしょう。

 今回は連載記事なので、読者の皆さんには時間制限がありません。ですから、連載を最後までお付き合いいただければ、どなたでもミニ四駆のボディを3Dモデリングできるようになると思います。少なくとも、手順をフォローしていただければ、本連載で紹介する同一の形状を作ることは可能です。一度アプローチ方法を押さえれば、後は応用でさまざまな形状を3Dモデリングできるようになっていくでしょう。

ミニ四駆にはレギュレーションがある

 さて、読者の皆さんはミニ四駆、特にそのレギュレーションについて熟知されているでしょうか? 趣味で、家族でミニ四駆にハマっている方であれば熟知しているかもしれませんが、ほとんどの方がご存じないでしょう。

 ご安心ください。本連載を読み進めるに当たり、そのような知識は必要ありません。かくいう筆者も本連載の相談を受け、初めてミニ四駆を組み立てたという具合です。

 ミニ四駆のボディを3Dモデリングしていく上で必要となる情報だけに絞って、タミヤの公式Webサイトにあるミニ四駆公認競技会規則(2015年改訂版)を見ていきましょう。ボディ形状にかかわる部分は、以下の通りです。ちなみに、先ほど紹介した前回のFabミニ四駆カップでも「全長」以外はこちらの数値に準拠しています。

  • 最大幅:105mm以下
  • 全高:70mm以下
  • 全長:165mm以下
  • 最低地上高:1mm以上
  • 全装備最低重量:90g以上(電池、モーターを含む)

 これらの数値を完全に記憶する必要はありませんし、本連載の解説通りに進めていけば、自然とレギュレーションの範囲に収まります。ここでは、このような制限があるということだけを覚えておいてください。

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