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3Dプリンタでマイミニ四駆を作る、親子教室3次元って、面白っ! 〜操さんの3次元CAD考〜(44)(1/3 ページ)

タミヤ協力の下、3D-GANが3Dプリンタでマイミニ四駆を作る親子教室を開催しました。約3時間で形状作成から3D出力、コースで走行まで体験できるという盛りだくさんな内容になりました。

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どういうコンテンツなら作ってみたい?

 毎朝、業界の新聞を読んでいると感じるのは、ついこの前まで、毎日どこかしらに何らかの形で3Dプリンタのニュースが出ていたものでしたが、最近は時々……、といったところです。というか、ようやく過熱感が落ち着き、本来の状況に戻ってきているのでしょう。

 一方で、「3Dモデリングを覚える」「趣味でモデリングをして楽しもう」などの動きとしては、3Dモデラボの「モデ1 GP」(関連リンク:3Dプリンタは誰の手に? モデ1GPレポート!)のような3Dモデリングや3Dプリンタ関連のイベントがあちらこちらで見られるようになりました。とはいえ、……まだまだ「世間で一般的」というには程遠い状況ではあります。さらに、多くのイベントは、東京をはじめとする大都市近郊での開催です。国内の多くの地域では、3Dプリンタや3Dモデリングに、製造業に関係のない人達が触れる機会はまだまだ限られているというのが現状ではないでしょうか。

 3D-GANでは、「日本のモノづくりの活性化は、次世代の子どもたちに3Dに触れてもらうことから」と考えて、2013年の夏から親子工作体験教室を開催してきました。2014〜2015年にかけては、東京だけではなく、新潟、広島の尾道、北海道の帯広など、東京以外の地域にも招かれて親子講座を開催し、その認知度が徐々に上がってきました。筆者も幾つかの講座のお手伝いをしています。

 子どもたちは(大人と違って!?)つべこべ言わずに、思うままにモデリングを進めていきます。これを機会に、モノづくりに興味を持ってもらえればうれしいし、そうでなくても、現代の製造業でのモノづくりで使われている道具とか流れみたいなものに対するリテラシーがちょっとでも付いてくれればいいなぁと思っています。

 ということでこの活動、ある程度の勢いはついてきたものの、3D-GANとしては「何かが足りない……」と考えていました。それはコンテンツ(題材)の「引きの強さ」(反応の良さ)でした。

 これまでは、3D-GANオリジナルの題材を使って講座を進めてきました。「3Dプリンタ」という単語自体がいまだに引きが強いので、それだけで、ある程度の人が集まってきました。より多くの人に講座に興味を持ってもらうためには、「もっと引きの強いコンテンツ」を用意する必要があります。

 「モデリングを学びたい」と考える多くの人たちは、それが仕事でない限りは、「3Dモデリングがしてみたいから」というよりは、「何か作りたいものがあるから、その手段として3Dモデリングを学びたい」と思うわけです。しかし、多くの人が「作ってみたい!」と思うようなコンテンツといえば、アニメやマンガ、ゲームのキャラクターなど版権を伴うものが多く、利用することは容易ではありません。

 また、子どもには柔軟な発想力があります。それを伸ばすきっかけを作るため、いろいろな情報や活動に触れさせる機会を作るのは、親をはじめとする周囲の大人です。とすると、大人にも興味を持ってもらえるようなコンテンツが望ましいです。さて、それは何だろう……。

 ……という感じで悩んでいると、ある動きがありました。

よいコンテンツは見つかったけど、準備が大変!

 2015年の3月に静岡市から3D-GANに依頼された講演があり、理事2人と会員さん1人がそこでお話させていただきました。その際、主催者さんから模型メーカーのタミヤさんを紹介してもらいました。理事長は講演があったその日のうちに同社に突撃し、親子教室の趣旨や思いのたけをぶつけたところ、「面白い! 一緒にやりましょう」と15分で快諾していただいたのです。コンテンツは「ミニ四駆」になりました。

 ミニ四駆の親子教室は2015年5月の「第54回 静岡ホビーショー」に合わせて、静岡ホビースクエア(静岡市)で開催しようということになりました。その時点で既に開催まで2カ月を切っていました。「営業が取ってきた短納期の仕事を、現場のエンジニアが頑張って何とかする」というふうな、世間でよく聞く話がここでも繰り広げられたのでした……。

 さて、そんな話は置いておいて、具体的にはどんな内容にしたのか?

 当然、親も子も「3Dモデリングの経験はゼロ」の方が多いでしょう。「たった2〜3時間でゼロから何かを作るのは当然難しいだろう」ということで、幾つかのタイプのミニ四駆のボディの形状をテンプレートとして用意することにしました。この教室の目的は、あくまで、親子で「データを作成し、それを実物にする」という流れを楽しんでもらうこと。改造パーツを作るセミナーではありませんから、凝ったことをする必要はありません。むしろ、特定のものにこだわらず、さまざまな好みに対応できる(例えばかわいいとか)準備が大事です。

 まずは使用するミニ四駆のシャシーをX線CTスキャナを使って3Dデータ化します。後は、そのデータをベースにして、会員さんたちの協力を得て、開催までに何とか、テイストの違う3種類のテンプレートを作りました。

ミニ四駆のテンプレート

 いつもの親子教室だと3Dモデリングだけで2〜3時間かけます。一方、今回の教室では同じ時間内で3Dモデリングから3D出力、さらには実際に自分のボディを取り付けてコースで走らせるところまで、……という何とも欲張りな内容です。なので、単に3Dモデリングするだけではなくて、決められた時間内で確実に3D出力できる3Dモデルであることも重要になります。

 実はこのあたりの検討にも結構時間がかかりました。このせいで、事務所内にはミニ四駆のボディになりそこねたプラスチックの残骸が大量に積み上がることになりました(笑)。

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