新型「シエンタ」のハイブリッドバッテリー、「アクア」より10%薄型:エコカー技術(2/2 ページ)
トヨタ自動車の最も小型の3列シートミニバン「シエンタ」が、フルモデルチェンジによりハイブリッド車をラインアップに加えた。「アクア」のハイブリッドシステムを流用している新型シエンタのハイブリッド車だが、ミニバンとして使い勝手を確保するため、二次電池パック(ハイブリッドバッテリー)を薄型化して床下に組み込んでいる。
ミニバンのどこに二次電池パックを置けばいいのか
ミニバンにハイブリッド車を設定する際に最も難しいのが、電力を蓄積しておく二次電池パックの設置位置だ。2列シートの小型車であるアクアの場合、後席の下側に組み込まれている。しかし、ミニバンの場合は2列目シートと3列目シートを使ったさまざまなシートアレンジで車室内を活用することが多い。このため、シートアレンジに影響を与える場所に二次電池パックを組み込むわけにはいかない。
そこで、先述したノア/ヴォクシーの場合、運転席と助手席のある1列目シートの下部に二次電池パックを設置している。2015年1月に発売した3ナンバーのミニバン「アルファード/ヴェルファイア」も、二次電池パックの設置場所は1列目シートの下部になっている。
では新型シエンタの場合は二次電池パックをどこに配置したのだろうか。新型シエンタのプラットフォームは、前部がアクア、後部が従来モデルのシエンタという構成になっている。従来モデルのシエンタは、2列目シートの下側床下内に燃料タンクを設置していたが、床内部における燃料タンクの前側、1列目シートの後半部から2列目シートの足元あたりに少しスペースがあったという。「ただし、アクアの二次電池パックをそのまま設置するにはスペースの高さが足りない。そこで、二次電池パックを冷却するブロアなどの配置を工夫し、容量を減らすことなく二次電池パックの高さを10%程度小さくして、そのスペースに組み込めるようにした」(同社の説明員)という。
これによって新型シエンタは、ハイブリッド車とガソリンエンジン車(2WDモデル)とも、車室内寸法が室内長2535×室内幅1470×室内高さ1280?となり、同じ広さを確保できた。
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