前方車載カメラの映像を三面鏡スタイルで表示、フォードの「スプリットビュー」:安全システム
フォードは、ヘッドユニットに組み込んだ8インチディスプレイ上に、車載カメラで撮影した車両の左前方、正面、右前方の映像を三面鏡のように表示する「スプリットビューカメラ」を開発した。
Ford Motor(フォード)は2015年6月23日(米国時間)、車載カメラを活用した運転支援システムの採用の方向性について発表した。
同社は、交差点などで、車両前方の左右から進行してくる他の車両や歩行者を確認しやすくする「スプリットビューカメラ」を開発した。スプリットビューカメラは、車両前部のフロントグリルに設置した、視野角が180度で画素数が1Mピクセルの車載カメラを用いる。交差点などで左折もしくは右折する徐行時に起動し、ヘッドユニットに組み込んだ8インチディスプレイ上に、車載カメラで撮影した車両の左前方、正面、右前方の映像を三面鏡のように表示する。
なおスプリットビューカメラは、ドライバーがボタンを押すと起動し、走行速度が時速10kmを超えると自動的に停止する仕様になっている。北米と中国で販売中のSUV「Edge(エッジ)」と「Explorer(エクスプローラー)」の新モデルに搭載する予定。エクスプローラーは、車両後方をカバーするスプリットビューカメラも搭載するという。また、車両前方のスプリットビューカメラは、欧州向けのミニバン「S-MAX」と「Galaxy(ギャラクシー)」にも採用する。フォードは、2020年までにほぼ全てのSUVとミニバンにスプリットビューカメラを採用する計画だ。
北米向けの全ての乗用車は2018年までにリヤカメラを搭載
さらにフォードは、2018年までに全ての北米向け乗用車にバックモニター用のリヤカメラを、2020年までに世界全域に出荷する車両の過半数にフロントカメラを搭載する方針を打ち出した。これによって、年間で200万個以上の車載カメラが市場に導入されることになるという。
また、大型ピックアップトラックである「Super Duty(スーパーデューティー)」の運転支援システムのセンサーとして7個の車載カメラを採用する。ピックアップトラックの中核車種である「F-150」の新モデルでは、車両の周辺を確認するためのサラウンドビューに車両の前後左右に1個ずつで4個、車線維持と自動ハイビーム向けに1個のフロントカメラで、合計5個の車載カメラを搭載している。F-150より大型になるスーパーデューティーでは、用途は明示されていないものの、車載カメラの搭載数が2個増える。
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