自動運転の国プロ開発リーダーが示す“懸念”
2015年6月12日、ITS Japanの「2015年度通常総会」が開催されました。
ITS Japanは、ITS(高度道路情報システム)を、日本のみならず全世界で発展させていくことを目的とした民間組織です。ITS Japan会長を務めるトヨタ自動車 顧問の渡邉浩之氏は、総合科学技術・イノベーション会議が主導する戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)の自動走行(自動運転)システムの研究開発プログラム「SIP-adus」のプログラムディレクター(PD)も務めています(関連記事:自動運転技術開発担当PDの渡邉氏が意気込み、「国がやるR&Dの新しい形見せる」)。
その渡邉氏が、総会終了後の交流会のあいさつで以下のようにコメントしました。
「ITSや自動運転は、ITによるサイバー世界と物理世界をつなげる『サイバーフィジカルシステム』の代表と言ってもいい。サイバーとフィジカルをもっと近づけないと新しいことができないことは確かだ。だがその一方で、最近の動きに“危うさ”も感じている」(渡邉氏)。
渡邉氏の言う「最近の動き」とは、ドライバーが不要な完全自動運転技術の実現を一足飛びに実現しようという取り組みの数々です。その代表はGoogleになりますが、他にも自動車業界外、特にIT系企業からそういった発信が行われています。
このような発言に対して、「日本の自動車業界はスピード感が足りない」「このままでは自動運転技術で欧米のIT業界に先行されて、また電機業界のようにガラパゴスになる」などという意見が出てくることかと思います。
ですが、渡邉氏の考え方は実に明確です。以下に渡邉氏の言葉を引用します。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- ≫モノづくり編集のこぼれ話
- 自動運転はいつ実現? 日米欧が描くそれぞれのロードマップ
内閣府が主導する「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」において、自動運転システムの開発に取り組むSIP-adusが、欧州や米国の自動運転技術の開発における動向や、今後の研究開発の方向性について説明した。 - 日本で自動運転システムを実用化するために解決すべき5つの課題
自動運転システムの開発を目指す「SIP-adus」では、日本国内で自動運転車を実現する上で解決すべき5つの研究開発テーマを設けている。また、2020年に東京で、自動運転システムを利用した次世代公共交通の実現を目指すことも目標に掲げている。 - 自動運転の最大の課題は「人とクルマの関係性」
自動車技術会が開催したイベントで、日産自動車 電子技術開発本部 IT&ITS開発部 ITS開発グループ シニアスタッフの赤津洋介氏が「Active Safety Systemの現状と未来」をテーマに、先進運転支援システムや今後の自動運転システム開発の方向性について語った。 - 東京都が2020年に自動運転バス「ART」を導入へ、“交通弱者”に優しく
総合科学技術・イノベーション会議が主導する戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)の自動走行(自動運転)システムの研究開発プログラム「SIP-adus」は、東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年に向け、東京都内に次世代公共交通システム「ART」を導入する方針を示した。