車載リチウムイオン電池のコスト半減と容量倍増を2020年に実現――ボッシュ:電気自動車
Robert Boschの日本法人・ボッシュ社長のウド・ヴォルツ氏は、年次記者会見で、GSユアサ、三菱商事と共同開発中の車載リチウムイオン電池の開発時期と性能目標についてコメントした。
Robert Boschの日本法人・ボッシュは2015年6月18日、東京都内で年次記者会見を開き、2014年の業績結果や2015年の業績見込みなどについて説明した。
ボッシュ社長のウド・ヴォルツ氏によれば、2014年におけるRobert Boschグループ全体の売上高が前年比6.3%増の490億ユーロになったという。このうち68%を占めるモビリティソリューションズ(自動車機器テクノロジー事業から名称を変更)は同8.9%増の333億ユーロとなった。
Robert Boschは2015年から、ZFと折半出資していたステアリング子会社のZF Lenksystemeと、同じくシーメンスと折半出資していた家電製品子会社のBSH Bosch und Siemens Hausgerateの両社を完全子会社として傘下に収めた。つまり2015年から、ステアリング子会社はRobert Bosch Automotive Steering、家電製品子会社はBSH Hausgerateとして連結対象になる。
ヴォルツ氏は、「両社を含めたRobert Boschグループの2014年の売上高は640億ユーロと見ており、2015年はこれに対して3〜5%の増加が見込めそうだ。足元は幸先のよいスタートを切れている」と語る。
日本法人であるボッシュの2014年の売上高は2750億円(ステアリング子会社などは含まない)で前年比9%の増加だった。2015年は、「増税による国内自動車市場の減少などマイナス要因はあるが、2014年ほどではないものの前年比プラスにはできそうだ」(同氏)という。
「次世代車載リチウムイオン電池の開発は順調」
Robert Boschは、売上高の多くの割合を占めるモビリティソリューションズのさらなる成長を果たすため、「自動化」「電動化」「ネットワーク化」の3分野で技術開発に注力している。
中でも日本との関連が深いのが「電動化」におけるリチウムイオン電池開発だ。Robert Boschは2013年6月に、GSユアサ、三菱商事と、次世代車載リチウムイオン電池の開発で提携することを発表している(関連記事:ボッシュがGSユアサと車載リチウムイオン電池で合弁、サムスンからの脱却を加速)。さらに2014年2月には、Robert Boschが50%、GSユアサと三菱商事が25%ずつ出資するLithium Energy and Powerという合弁企業の設立も発表している。
ヴォルツ氏は、開発中の車載リチウムイオン電池の開発時期と性能目標について、「2020年を目標に、コストの半減とエネルギー密度の倍増を実現できるような開発を進めている。開発は順調で、(Robert Boschは)このプロジェクトに強いコミットメントを持っている」と語った。
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