サムスンSDIが車載リチウムイオン電池「パック」事業を買収した意味:電気自動車
Samsung SDI(サムスンSDI)は、カナダのティア1サプライヤ・Magna International傘下でオーストリアに本拠を置くMagna Steyr(マグナ・シュタイヤー)の車載リチウムイオン電池パック事業を買収する。
Samsung SDI(サムスンSDI)は2015年2月23日、カナダのティア1サプライヤ・Magna International傘下でオーストリアに本拠を置くMagna Steyr(マグナ・シュタイヤー)の車載リチウムイオン電池パック事業を買収すると発表した。2015年6月末までに買収を完了する予定である。買収金額は非公開。
サムスンSDIは、マグナ・シュタイヤーの車載リチウムイオン電池パック事業の全てを譲り受ける。これには、オーストリアにある研究開発と生産の拠点、264人の従業員、そして現在製品を供給している顧客との契約も含まれる。
「今回の買収は、サムスンSDIが車載リチウムイオン電池事業を強化し、競争力を高めていく上で、鍵となる戦略的なステップになる」(サムスンSDI社長兼CEOのNamseong Cho氏)という。
サムスンSDIは、リチウムイオン電池のトップ企業の1つで、電気自動車やハイブリッド車、プラグインハイブリッド車向けに用いる車載リチウムイオン電池でも採用実績を有している。ただし、リチウムイオン電池セル、もしくは幾つかのリチウムイオン電池セルを組み合わせた電池モジュールによる供給実績が中心だった。
同社は2008年9月に、ティア1サプライヤであるRobert Boschとともに、車載リチウムイオン電池の合弁企業・SB LiMotiveを設立。サムスンSDIが電池セルと電池モジュールを、電池モジュールを組み合わせてシステム化した電池パックについてはRobert Boschが主導していた。しかし2012年9月、SB LiMotiveの合弁が解消された際に、電池パック関連の技術や事業はRobert Boschに帰属していた(関連記事:ボッシュがサムスンSDIとの車載電池合弁を解消、欧州での提携を模索)。
サムスンSDIにとって、今回の電池パック事業の買収は、自動車メーカーに直接製品を納めるティア1サプライヤになることを意味する。サムスンSDIは、電気自動車、ハイブリッド車、プラグインハイブリッド車といった電動自動車の市場規模が、2014年の210万台から、2020年には770万台まで拡大するという調査結果を上げ、「今後の成長が期待できる欧州、北米、中国での展開を強化する」(同社)としている。
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