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IoTで広がるビジネスチャンス、愛知県に見る地方発ベンチャーの育て方モノづくり×ベンチャー インタビュー(4)(3/3 ページ)

政府が掲げる「地方創生」の方針やベンチャーキャピタルによる投資額の増加もあり、地方発のベンチャー企業の育成が盛り上がっている。愛知県名古屋市で2003年からベンチャー企業の育成に取り組む「あいちベンチャーハウス」を取材した。

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「農業をITで支援!」――IT工房Z

 現在、あいちベンチャーハウスに入居している中で、まさにIoTと呼べるサービスの開発を進めているIT工房Zを取材することができた。同社は2013年に入居しており、あいちベンチャーハウスでの活動は3年目になる。「農業をITで支援する」をテーマに、主に施設園芸農家向けのモニタリングサービスの開発やコンサルティングなどを手掛けているベンチャー企業だ。

 IT工房Zの主力商品となるのが「あぐりログ」というクラウド型のモニタリングサービスだ。これはビニルハウスなどの中に「あぐりログ BOX」という専用のモニタリング機器を設置して、ハウス内の温度、湿度、CO2濃度などを、PCやスマートフォン上からあぐりログを通してリアルタイムに確認できるというもの。愛知県の農業総合試験場との共同研究を進めて開発したという。

 価格はあぐりログ BOXが1台5万8000円で、あぐりログの年間利用料が2万4000円となっている。モノとITサービスを組み合わせたビジネスモデルだ。

PCから見た「あぐりログ」の画面(左)と「あぐりログ BOX」(右)(クリックで拡大)出典:IT工房Z

 IT工房Zを立ち上げた代表取締役の座光寺勇氏は、元システムエンジニア。前職で携わったプロジェクトの中で、農業へのIT活用の可能性を見いだし、1人でIT工房Zを立ち上げた。「大手メーカーが大規模な栽培管理システムの販売を進めているが、大規模施設向けで高額なものが多く、全体でみると数%の農家にしか導入されていない。しかしモニタリングサービスを使いたいというニーズは高く、IT工房Zはもうちょっと小規模な農家の方をターゲットに販売を行っている。導入しやすい、使ってみたくなる価格にすることを大切にしている」(座光寺氏)。

 あいちベンチャーハウスに入居した理由について座光寺氏は「会社を立ち上げた時には、やはり1人だけではなかなか上手くいかないと感じた。また事務所をつくるにしても家賃の負担は厳しい。そこで入居を考えた」と語る。IMの中野氏は「座光寺さんは入居審査をする側からすると、前職での経験や技術力もあったし、事業内容としても大歓迎だった。あとはどうビジネスとして成り立たせるかだけが課題だったので、そのあたりを重点的に支援していこうと思った」と振り返る。

 入居後に事業を進める中でポイントとなったIMからのアドバイスについて座光寺氏は「あぐりログ BOXの開発に関して、自分はハードウェアの専門エンジニアではないので未熟な点も多かった。そこでIMを通じて外部のハードウェア設計を行っているメーカーを紹介してもらい、製品としての完成度を高めることができた。現在は量産化に向けた準備を進めている。補助金に関する情報や人脈の構築なども含め、近くで客観的な視点からアドバイスしてくれる方がいるというのはとても大きい」と語る。

 現在、あぐりログは全国各地の約40の農家に販売実績があり、受注数もあぐりログ BOXの生産が間に合わないほど増えているという。IMのアドバイスで人材を2人追加し、現在は3人体制で事業を進めている。最近ではあぐりログに複数の農家同士で生産環境情報を共有できるシステムもリリースした。今後はあぐりログのサービスをさらに進化させ、将来的には農作物の収穫量予測が行えるシステムの開発を進めていくという。


IZ工房Zのオフィスの様子。左から同社の沖氏、座光寺氏、權氏

 「あいちベンチャーハウスは、PDCAを回してベンチャー企業がしっかりとコアコンピタンスを育てていけるようサポートを行っている。製造業が盛んな愛知県は、コツコツと積み上げていけばネットワークも構築できる。IoTやビッグデータなどテクノロジーによる新たな市場が生まれようとしている中で、独自のビジネスモデルを生みだすベンチャー企業を今後もどんどん支援していきたい」(中野氏)。

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