トヨタが制御セキュリティに本腰、CADやCAEなどデジタルプロセス改革も推進へ:株主総会に合わせて組織改正
トヨタ自動車は組織改正を行い、2つの部格組織を新設した。情報セキュリティ推進室では、情報セキュリティに加えて制御セキュリティも手掛ける。ユニット開発基盤デジタル改革部は、CAD/CAE/CAMといったデジタルプロセスの改革を推進する組織だ。
トヨタ自動車は2015年6月16日、同日開催した定時株主総会に合わせて組織改正を行った。
今回の組織改正では、2つの部格組織が新設されている。1つは、総務・人事本部内にあった「BR情報セキュリティ推進室」を直轄組織に移管し、部格組織に再編した「情報セキュリティ推進室」である。情報セキュリティ推進室は、機密管理や一般的な情報システムの情報セキュリティに加えて、車両を生産する工場の制御システムを守る制御セキュリティなどの向上をグローバル・機能横断的に推進することを目的にしている。
もう1つは、ユニットセンター内における「ユニット開発基盤デジタル改革部」の新設である。同センターのエンジン技術領域のエンジン設計部やエンジン統括部の一部、ドライブトレーン技術領域のドライブトレーンユニット設計部やドライブトレーン実験部の一部、そして100%子会社であるトヨタテクニカルディベロップメント(TTDC)の一部から、車両の設計や生産に必須のCAD/CAE/CAMといったデジタルプロセスの改革を推進する人員をユニット開発基盤デジタル改革部に集約。これに合わせて、エンジン設計部とドライブトレーンユニット設計部も再編する。
ユニット開発基盤デジタル改革部の活動により、ユニットセンター内の各領域(エンジン・ドライブトレーン・HV・生産技術)が一体となった開発基盤の構築を加速させるとしている。
これらの組織改正の結果、組織数(部組織)は、227部から229部に増える。
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