心臓の形状と挙動を忠実に再現する「3D心臓モデル」を商用化:3次元ツールニュース
ダッソー・システムズは、同社が参画する「リビング・ハート・プロジェクト(The Living Heart Project)」の最初の成果となる、人間の心臓とその挙動を忠実に再現する3Dシミュレーションモデルを商用化した。
ダッソー・システムズは、独ベルリンで開催された「SIMULIA」ブランドのユーザー会において、同社が参画する「リビング・ハート・プロジェクト(The Living Heart Project)」の最初の成果となる、人間の心臓とその挙動を忠実に再現する3Dシミュレーションモデル(以下、3D心臓モデル)を、2015年5月29日より商用化したことを発表した。
リビング・ハート・プロジェクトは、心疾患の患者向けに3D心臓モデルを作成し、治療や診断に役立てようというプロジェクトで、この取り組みに30以上の団体が参画している。
今回商用化された3D心臓モデルは、健康な人間の標準的な心臓の形状と挙動を忠実に再現。解剖学の見地から細部まで明確に定義された心臓(右心房、右心室、左心房、左心室)および近位脈管構造(大動脈弓、肺動脈、上大動脈など)が含まれている。作成には、SIMULIAのリアリスティックシミュレーション製品シリーズを活用し、3D心臓モデルの動的な反応は、電気信号、構造、流体(血流)のリアリスティックな物理特性によって制御されている(関連記事:心臓の動きを3Dタブレット上でリアルに再現、「Abaqus」の解析技術がベース)。
医療機器メーカーや医療研究者、医療専門家は、この3D心臓モデルを用いることで、バーチャルテストを行ったり、従来の物理的な試験では不可能だった方法で心臓の反応を可視化したりすることができる。
また、ソフトウェアエディタを用いて3D心臓モデルの形状や細胞特性に変更を加えることで、先天的欠損症や心疾患について学習することも可能。さらに、シミュレータの中に医療機器を挿入し、医療機器が心臓機能に与える影響を学習したり、その有効性を検証したり、動作条件によって左右される信頼度を予測したりすることもできる。例えば、冠状動脈ステントの挿入に当たり、最適なステントのタイプ、サイズ、挿入場所はどこかを事前に検証することが可能になるという。
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