燃料電池車「ミライ」を“解剖”:人とくるまのテクノロジー展2015 リポート(2/4 ページ)
トヨタ自動車は「人とくるまのテクノロジー展2015」において、燃料電池車「MIRAI(ミライ)」のカットモデルや各種関連技術を展示した。ミライに搭載された部品は、自動車部品メーカー各社でも披露されており、さながら、会場全体を使ってミライを“解剖”しているような状況だった。
アルミニウム採用で軽量化した高圧水素供給バルブ
ミライに採用された自動車部品のメーカーのほとんどは、実証試験車「FCHV」のころから燃料電池車の開発に協力している。しかし価格が億円レベルと言われた実証試験車とは異なり、量産車であるミライ向けでは、コスト低減や軽量化のための開発が求められたという。ここからは、ジェイテクト、デンソー、豊田自動織機、アイシン精機、トヨタ紡織、愛三工業、愛知製鋼の展示を紹介する。
ジェイテクトは、高圧水素供給バルブと減圧弁を展示した。高圧水素供給バルブは、水素タンクに充填された高圧水素の封止と供給に用いる。減圧弁は、高圧水素供給バルブから供給された高圧ガスを、燃料電池スタックで使用可能な圧力まで減圧する部品だ。高圧水素が関わる部品は、特殊なアルミニウムやステンレスでなければ脆(ぜい)化という現象によって劣化してしまう。ミライ向けでは、アルミニウムを広く採用することで大幅な軽量化を実現した。
これらの他、コラムアシストタイプの電動パワーステアリングや、ハブユニット、円すいころ軸受、カウンタドライブ用玉軸受などがミライに採用されたという。
デンソーは、ミライの熱制御システム、エア供給システム、EV制御システム、水素系システムにさまざまな部品を供給している。展示では、燃料電池スタックに大きな関わりを持つ、熱制御システムと水素系システムを詳しく紹介していた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.