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トヨタとマツダの提携を生んだ「クルマづくりの志」と「ふるさとへの思い」自動車産業の将来への危機感も背景に(1/2 ページ)

トヨタ自動車とマツダは包括的な業務提携関係の構築に向けた覚書に調印した。会見に登壇した、トヨタ自動車社長の豊田章男氏とマツダ社長の小飼雅道氏は、具体的な提携内容には一切触れない一方で、「クルマづくりの志」と「ふるさとへの思い」といった両社の共通点を強調した。

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 トヨタ自動車とマツダは2015年5月13日、東京都内で会見を開き、両者の経営資源の活用や商品・技術の補完など、包括的な業務提携関係の構築に向けた覚書に調印したと発表した(関連記事:トヨタとマツダが“もっといいクルマ”に向け業務提携を拡大)。

 これまで両社は、トヨタ自動車からマツダへのハイブリッド技術の供与や、トヨタ自動車の米国市場向け小型車(サイオンブランドの「iA」)のマツダ・メキシコ工場における生産委託のように個別のプロジェクトで進められてきた。今回の業務提携は、そういった枠組みを超えた中長期的な相互協力を目指すものになる。業務提携の具体的な内容は、今後両者で組織する検討委員会で策定する予定だ。

トヨタ自動車の豊田章男氏(左)とマツダの小飼雅道氏(右)
トヨタ自動車の豊田章男氏(左)とマツダの小飼雅道氏(右)(クリックで拡大)

 このため、会見に登壇した、トヨタ自動車社長の豊田章男氏とマツダ社長の小飼雅道氏は、事前の報道にあったような、トヨタ自動車からマツダへの燃料電池技術やプラグインハイブリッド車技術の供与や、マツダからトヨタ自動車への内燃機関技術の供与といった具体的な提携内容には一切触れなかった。

 また、トヨタ自動車の売上高が27兆2345億円、マツダが同3兆339億円(ともに2014年度連結業績)と、企業規模の違いもあり、トヨタ自動車がマツダの株式を取得する形での資本提携に関する質問もあったが「トヨタを大きな財布と考えての提携ではない。提携内容はこれから策定する段階であり、仮定の話はしない」(豊田氏)と一蹴した。

実務を通して構築した信頼関係が提携合意に結び付く

トヨタ自動車の豊田氏
トヨタ自動車の豊田氏

 豊田氏は、マツダについて、「私は常々『もっといいクルマづくり』をしたいと言ってきたが、『Be a driver』をスローガンに『走る歓び』の提供を一貫して目指すマツダは、まさに『もっといいクルマづくり』を実践している企業だ」と語る。

 一方の小飼氏は、トヨタ自動車について、「地球環境保全やモノづくりの未来に貢献しようとする姿勢、『もっといいクルマづくり』に向けてさらなる革新をしようという取り組みに尊敬の念を抱いている。また、創業時から地元を大切にしていることは、マツダとの共通点でもある」と述べる。

マツダの小飼氏
マツダの小飼氏

 両氏が強調したのは、今回の提携のテーマである「クルマが持つ魅力をさらに高めていく」上で必要な互いの共通点だ。最も大きいのは、「クルマの魅力向上」に取り組む“志”である。これは、「既に個別のプロジェクトとして進められている、ハイブリッド技術の供与や生産委託を通じて、現場の技術者間でその志を認め合うようになった。実務を通して構築した信頼関係が上(経営陣)まできて、今回の提携合意に結び付いた」(豊田氏)という。

 この他に挙がったのが「幾つかの困難な時期を乗り越えて挑戦してきたこと」、「ふるさとを大切にする思い」(小飼氏)だ。両社ともここ数年の業績は絶好調だが、1990年代後半から2010年ごろまでマツダの業績は低迷が続き、トヨタ自動車も豊田氏の社長就任直後に起こった大規模リコールによって厳しい経営を迫られた過去がある。

 「ふるさとを大切にする思い」については、トヨタ自動車が豊田市を、マツダが広島市を中核拠点としてクルマづくりを続け、地元のサプライヤと強固な関係を築いてきたことが共通点になる。

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