3年振りに新工場を解禁へ、“意志ある踊り場”から踏み出すトヨタ:工場ニュース(2/2 ページ)
トヨタ自動車はメキシコでの新工場の建設と中国での生産ラインを新設すると発表。リーマンショック後の赤字転落により2013年から3年間は新工場を建設しない方針だったが、1年前倒しで解禁した。
中国での生産体制も強化
トヨタは2015年4月23日に2014年の販売実績を公表している。グループ全体の暦年ベースでの販売台数は1023万台、年度ベースでは1016万8000台となった。一方トヨタとグローバル販売台数で争うドイツのフォルクスワーゲン(VW)は、暦年ベースでの販売台数が1014万台でトヨタを下回ったが、年度ベースでは上回ると見られるなど、両社のシェア争いは均衡している。ただ中国市場における2014暦年ベースの販売台数を比較した場合、トヨタは前年比12.5%増の約103万台、VWは12.4%増の368万台と大きな差がある。
これらの動きを受け、トヨタは中国での生産能力を拡大する。広州市南沙区に新設する生産ラインは2017年内の稼働を予定している。年間生産能力は約10万台となる予定だが、需要に応じて拡大を検討するとしている。投資額は約525億円で、新型車の生産を担う。新ラインの設置に伴い既存の生産ラインにおいても、生産車種のサイズに応じた再整理を行っていく。トヨタ生産方式の改善や、自動化を進めることでラインの再構築を行うことで生産性の向上を狙うとしている。
トヨタは2015年1月に、2015年のグローバル販売台数の計画を前年比1%減となる1015万台と発表しており、“意志ある踊り場”として成長基盤の基礎固めを継続する姿勢を見せていた。しかし今回3年振りに新工場の建設を解禁し、今後、意志ある踊り場からどう踏み出していくのかは注目だ。
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