国産RTOS「eT-Kernel」がISO26262とIEC61508で最高安全度水準の認証を取得:ISO26262
イーソルは、同社のTRONベースリアルタイムOS「eT-Kernel」が、自動車向けのISO 26262と一般産業機器向けのIEC 61508、2つの機能安全規格について、最高の安全度水準(ISO 26262はASIL D、IEC 61508はSIL 4)で第三者認証を取得したと発表した。国産OSとしては初の事例になるという。
イーソルは2015年4月21日、同社のTRONベースリアルタイムOS「eT-Kernel」が、自動車向けのISO 26262と一般産業機器向けのIEC 61508、2つの機能安全規格について、最高の安全度水準(ISO 26262はASIL D、IEC 61508はSIL 4)で第三者認証を取得したと発表した。国産OSとしては初の事例になるという。認証機関はドイツのSGS-TUV Saarである。
認証取得に合わせて、eT-Kernelとセーフティ関連ドキュメントをパッケージにした「eT-Kernel Platform Safety Package(以下、Safety Package)」の提供も始めた。Safety Packageは、ISO 26262とIEC 61508の両規格で認証を取得していることもあり、自動車向けと産業機器向けの2種類を用意。英語にも対応している。これにより、先進運転支援システム(ADAS)を含む車載システムや、工場で使う産業用ロボットなどの産業機器の規格適合に掛かるコストの低減や、製品の市場投入期間の短縮に貢献できるという。
なおeT-Kernelは、専用の開発ツール「eBinder」と各種ミドルウェア、プロフェッショナルサービスで構成されるソフトウェアプラットフォーム「eT-Kernel Platform」として提供される。eT-Kernelの認証取得により、「安全なシステム開発へのeT-Kernel本体の適用性に加え、イーソルの製品開発プロセスの適正が確認された」(イーソル)という。
また開発ツールのeBinderについても、eT-Kernelと同様にISO 26262/IEC 61508で規定されている最高レベルの安全要件を満たした開発を行っていることから、ツール認証取得を視野に入れている。
さらに、IEC 61508と医療機器のソフトウェア開発と保守に関する安全規格であるIEC 62304のプロセス認証を取得することにより、2015年内に医療機器向けのSafety Packageをリリースする予定だ。
関連記事
- イーソルが「eT-Kernel」のISO26262の第三者認証を「ASIL B」で取得へ
イーソルは、リアルタイムOS「eT-Kernel」と統合開発環境「eBinder」について、自動車向け機能安全規格であるISO 26262の第三者認証機関による認証を、ASIL Bで取得すると発表した。 - 複雑化する車載機器開発をサポート、イーソルが専業子会社を設立
イーソルは、車載機器開発のサポートを専業とする100%子会社・イーソルトリニティを2015年4月1日に設立した。専門子会社の設立により、ソフトウェアの比重が増大している次世代車載システム開発の支援体制を強化していく構えだ。 - イーソル、AUTOSAR仕様RTOS「TOPPERS/ATK2」向けプロフェッショナルサービスを提供
イーソルとTOPPERSプロジェクトは、イーソルがAUTOSAR仕様の自動車制御用リアルタイムOS「TOPPERS/ATK2(Automotive Kernel Version 2)」を対象に、プロフェッショナルサービスの提供を開始したことを発表した。 - 日本発のAUTOSARソリューション実現に向け車載ソフト6社が協業
車載ソフトウェア関連事業を手掛けるイーソル、SCSK、豆蔵、ビジネスキューブ・アンド・パートナーズ、キャッツ、未来技術研究所の6社が、AUTOSAR関連事業を共同で推進することを目的にした戦略的業務提携で合意。「日本の自動車メーカーおよびサプライヤのECUソフトウェア開発を支援し、日本の自動車産業の発展に寄与していく」という。 - AUTOSAR仕様の車載ソフト開発基盤で世界トップ3へ、TOPPERSが新プロジェクト
車載ソフトウェアの標準規格であるAUTOSAR仕様の開発プラットフォームのほとんどは欧州ベンダー製だ。この状況を打破し、日本発の車載ソフトウェア開発プラットフォームを世界トップ3に押し上げようという取り組みが始まった。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.