ホンダが3モーターハイブリッドの「レジェンド」で目指した“走りへの夢”:今井優杏のエコカー☆進化論(17)(4/4 ページ)
ホンダのフラッグシップモデルとなる高級セダン「レジェンド」は、3モーターのハイブリッドシステム「SH-AWD」を搭載している。新型「NSX」にも搭載される、このSH-AWD、1モーターの「i-DCD」や2モーターの「i-MMD」とは一味違うものになっている。
名前が「レジェンド ハイブリッド」じゃない理由
ここまでの動力性能を試したうえで、あらためて考えるとJC08モード燃費が16.8km/lというのは逆に相当優秀な数字じゃないかとおもいました。通常、これくらいの加速を見せるガソリンエンジンだと体感で4〜5km/lなんて数字を出していてもおかしくないと感じたからです。ハイブリッドシステム以外に、クルーズ時には気筒休止を行うなど燃費に貢献する技術が使われていますが、走行中にいつ気筒休止しているのか、そんなことはみじんも感じられなかったです。継ぎ目のない燃費性能、いいですね。
「ホンダのフラッグシップセダンだからこそ、ドライバーズカーであるべきだと考えたんです。ですから、2モーター式のi-MMDではなくSH-AWDを搭載しました。そして、走りを楽しんでもらいたいからこそ、ハイブリッドという名前を排除しました」
これは開発陣の言葉です。
そう、つまりレジェンドは、燃費を追及していないんです。そこにあるのはあくまでも走りへの夢、走りへの手応え。
そしてこれこそホンダが本当にハイブリッドでやりたかったこと、なんじゃないかと感じました。ホンダがスポーツカーを諦めて、F1を撤退し、突如「Green HONDA」などという動きを始めたころ。確かに時勢は大きくエコロジーやCO2排出規制に傾きました。その動きに迎合しなければいけなかった大企業としてのホンダの姿勢は今思えば仕方がなかったことなのかもしれません。
しかしここにきてにわかに活発に元気を取り戻しつつあるような雰囲気を、とても強く感じます。それこそF1へのチャレンジはまだまだ始まったばかりで、ちょっと目をつむってエールを送らなければいけないようなリザルトが続いていますが、国内最高峰ハコ車レース「スーパーGT」ではまさにレーシングハイブリッドを搭載したNSXが、開幕戦で2位表彰台を獲得しています。
ちょっとワクワクさせてくれるトピックス満載の今年(2015年)のホンダです。
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