削る! プロダクトデザイナーの「ワクワクモノづくり」:zenmono通信(2/3 ページ)
モノづくり特化型クラウドファンディングサイト「zenmono」から、モノづくりのヒントが満載のトピックスを紹介する「zenmono通信」。今回は、ファクタスデザインの鉢呂文秀さんにお話を伺った。
デザインで心がけていること
鉢呂氏 デザイン事務所なのでデザインに対する心得というか、ウチとしては「ゆとりとトキメキ」を与えられますみたいな、「アレが欲しい・コレが欲しい」という風にドキドキ感を覚える商品を作りたいなと、思っています。「カッコいい」だけだとデザインしたものが浮いちゃう場合があって、「ちょうどいい案配」のデザインが一番理想なんじゃないかなと。あと「心地よい感覚」。そばにあると心が和んだり、ホッとしたり、会社としてはそういうのをテーマとしています。
enmono宇都宮氏 それがファクタスデザインさんの「路線」なんですね。
鉢呂氏 僕らは「ワクワクモノづくり」って言ってますけど、言葉だけだと人によって受け止め方が違いますしね。直接「こういうものですよ」と(商品を提示すれば)、誰でも見れば分かるんですね。身体に作用を起こすための表現だと思ってるんですよ。
enmono宇都宮氏 言葉やグラフィックでは伝わりづらいものも、プロダクトとして手に触れ、肌触りや質感、重みを感じれば……。
鉢呂氏 それによってすごいザラザラしてる嫌な気分の場合もあれば、スルッとして気持ちよかったりとか、そういうのもデザイナーが選べるので表現しやすいんじゃないかと。デザインを変えるだけで性能・操作性・生産性・環境機能、そういったものを向上させることができる。そうして商品力をアップして売上が伸びるというのが基本です。
デザインとプライス
enmono宇都宮氏 デザインとプライスって難しいじゃないですか。決して安くはないものを作っておられるわけですし。そのあたりで値付けってどんな風にされてます?
鉢呂氏 値付けは基本的には最初にデザインありきなんですけど、ウチの場合、例えばこういうiPhoneのカバーは、出した当時はまだどこもやってなかったので、コストってのはウチが基本になったんですね。
enmono宇都宮氏 他がいっぱい出してくるとお客さんにも相場観ができてきますよね。
鉢呂氏 そうですね。ただ、パッと見でも他と違って、どこまでこだわってるかというのが伝われば、高くても購入されるお客さまはいらっしゃるんじゃないかなぁと思うんです。
enmono宇都宮氏 そういう層を狙っているのでしょうか?
鉢呂氏 いや、たまたまこういうデザインをしたら値段が高くなっちゃったということです。富裕層のお客さまを狙っているというのはなくて、ウチのお客さまの半分くらいは、一生懸命お金をためて買ってくださる方々なんです。
enmono宇都宮氏 それはうれしいですね。
鉢呂氏 はい。そうするとやっぱり大事にしてくださるじゃないですか。そういうのがいいいのかなぁと思います。後はデザインを入れると「1つの製品を作りあげた」という思いが生まれるので、社内共通の意識を向上させたり、商品開発の質が向上がしたり、他の業種との差別化を戦略的に表現できたり。デザインはパッと見で分かるので、企業イメージをアップすることもそれだけでできちゃいます。
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