「魂動デザイン」の自転車とソファ、テーマは「凛」と「艶」:車両デザイン
マツダは、イタリアのミラノで開催するイベント「Mazda Design クルマはアート」に、独自にデザインした自転車「Bike by KODO concept」やソファ「Sofa by KODO concept」を出展する。「凛」や「艶」という日本の美意識に根ざした感性に着目し、「魂動デザイン」のさらなる進化を目的としたアートワークになっている。
マツダは2015年4月14日、イタリアのミラノで開催するイベント「Mazda Design クルマはアート」に先立ち、独自にデザインした自転車「Bike by KODO concept(バイク・バイ・コドーコンセプト)」やソファ「Sofa by KODO concept(ソファ・バイ・コドーコンセプト)」などのアートワークを初公開した。
同社は、車両のデザインテーマに「魂動(こどう)-Soul of Motion(以下、魂動)」を採用。魂動では、野生生物のように生命力に満ちた力強い動きや躍動感の表現に一貫して注力している。
今回のイベントでは、研ぎ澄まされた品格である「凛(りん)」、人の情念に訴えかける「艶(えん)」という日本の美意識に根ざした感性に着目し、その表現を試みることで、魂動の動きの表現をさらに進化させることを目的にしている。
自転車は「ロードスター」、ソファは「CX-3」をイメージ
Bike by KODO conceptは、自転車本来の美しさを追求したトラックレーサー(自転車競技のトラックレースに使用する自転車)だ。部品点数を極力抑えたシンプルな構造をベースに、1枚の鉄板からたたき出して丁寧に成形したフレームや、新型「マツダ ロードスター」と同じ意匠の赤色ステッチを施した手縫いの黒革サドルを採用している。「ロードスターのスタイリングを想起させる躍動感や艶やかさを表現している」(同社)という。
一方、Sofa by KODO conceptは、マツダのデザイナーとイタリアの家具職人の共同作業により生まれたアートワークである。「マツダデザインの研ぎ澄まされた感性と、伝統に裏打ちされたイタリアのクラフトマンシップをバランス良く融合させた」(同社)とする。マツダ車に共通する力強いスタンスを表現しながら、「CX-3」に特徴的な研ぎ澄まされた造形をもつソファになっている。
これらの説明からは、Bike by KODO conceptが艶を、Sofa by KODO conceptが凛を表現していると言うこともできる。マツダ デザイン本部長に前田育男氏は、「CX-3と新型ロードスターが魂動デザインのブックエンドであり、シャープでモダンなCX-3と、柔らかいロードスターが両端にくる」と語っている(関連記事:「NDロードスター」は「魂動デザイン」のセンター中のセンター)。つまり、ロードスターの柔らかいイメージ=艶、CX-3のシャープでモダンなイメージ=凛というわけだ。
また、銅板を繰り返したたくことにより理想の形を創りあげる玉川堂による鎚起銅器「魂銅器(こどうき)」、幾重にも塗り重ねた漆と細かく砕いた卵の殻により自然の営み・豊かさを表現した卵殻彫漆箱「白糸(しらいと)」(金城一国斎作)といった、マツダのデザインテーマ「魂動」に共感して創作された日本の伝統工芸も公開している。
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