「S660」は“一発屋”になってしまうのか
ホンダが本日(2015年4月2日)から販売を始める2人乗り軽スポーツカー「S660」。同年3月30日の会見には多数の報道陣が集まりました。「ビート」以来、同社として19年ぶりの軽スポーツであるとともに、開発責任者(LPL)を務めた本田技術研究所 四輪R&Dセンターの椋本陵氏が26歳と若いことも話題になりました。
椋本氏を含めた開発チームのリーダークラス(PL)の平均年齢も30代前半と、いわゆる若者が中心になっています。S660は、“クルマ離れ”の代表として扱われている若者が、クルマの楽しさをアピールするために作ったことに大きな意味があるのだとか(関連記事:痛快ハンドリングの「S660」がクルマの楽しさを“どストレート”に発信)。
最終的には、「多くのユーザーに手の届くクルマにしたかった」(椋本氏)こともあり軽自動車に落ち着きましたが(関連記事:「S660」はなぜ軽自動車になったのか)、専用ターボチャージャー、新開発の軽自動車用6速マニュアルトランスミッション、高級車「レジェンド」に用いている「アジャイルハンドリングアシスト」、フロントだけでなくリヤもトーションビームではないサスペンションなどを採用しています。企画段階から「本格スポーツカー」を目指したという通りの走行性能を楽しめそうです。
製品としてかなり高い完成度を感じさせるS660。約200万円の価格を指して「これならマツダの新型『ロードスター』」を買うよ」とか、「軽スポーツなのに車重830kgとか重すぎる」とか、いろいろ意見はあるようですが、初期ロットの3000台が既に予約受注で占められるなど販売の出足も好調です。
ただ私が一番気になるのは、「来年(2016年)や再来年(2017年)も、S660は好調に売れ続けているのだろうか」という点です。もちろん売れ続けてほしいのですが、ホンダの国内販売を担当する専務執行役員の峯川尚氏のコメントを聞くと、少し先行きが心配になりました。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- ≫モノづくり編集のこぼれ話
- 痛快ハンドリングの「S660」がクルマの楽しさを“どストレート”に発信
ホンダは、新開発の2人乗り軽オープンスポーツカー「S660」を2015年4月2日に発売する。「スポーツカーの醍醐味(だいごみ)である曲がる楽しさ」(同社)を実現するため、軽自動車のパワートレイン配置として一般的なFFではなく、MR(ミッドシップエンジン・リアドライブ)を採用した。 - 「S660」はなぜ軽自動車になったのか
ホンダが2015年4月より発売すると発表した「S660」は、19年ぶりの復活となる同社の軽オープンスポーツカー。本格的な走行性能を追求しながらも、幅広いユーザーに向けた“手の届くスポーツカー”を目指したという。 - 新型「コペン」の“4つの変える”がダイハツをも変革する
スポーツカー冬の時代といわれる国内自動車市場で、2014年6月に発売された軽オープンスポーツカーの新型「コペン」。新型コペンのチーフエンジニアを務めるダイハツ工業 製品企画部の藤下修氏に、この厳しい市場環境下で新型コペンを成功させるための施策について聞いた。 - 新型「ロードスター」はマツダ新世代商品の集大成
2015年内の発売を予定している新型「マツダ ロードスター」。4代目となる「NDモデル」であり、1989年に発売された初代の「NAモデル」と同様に完全新規開発の車両だ。このNDモデルについて、国内市場向け仕様の開発目標値をマツダが明らかにした。