ZEV規制から読み解く環境対応自動車の攻防〔前編〕:知財コンサルタントが教える業界事情(19)(4/5 ページ)
トヨタの燃料電池車(FCV)関連特許無償開放の背景にあるといわれる米国のZEV(Zero Emission Vehicle:無公害車)規制。知財の専門家である筆者が「特許関連情報」と「公開情報」を中心に、技術開発・特許・技術標準などの観点からこれらの動きの背景を考察します。
特許レベルから見た燃料電池
ここでは、欧州特許庁の特許データベース「Espacenet」を利用し、FCVの特徴的構成要素であるFuel Cell(燃料電池)のファミリー特許件数までを含めた、注目企業の特許件数の検索結果を紹介します※13)。
※13)「具体的な検索方法」と「特許件数をみる上での注意事項」については「コラム1」を参照
まず、大規模自動車メーカー6社のFCV対応特許件数を表1に示します。提携関係にある企業については、グループとしての特許件数も示します。
※14)フィアット・クライスラー:無料の特許データベースである「Espacenet」は企業名の変遷までを考慮された特許情報データベースではないため、出願当初のApplicant(出願人名)のままであり、このような形式でまとめた
次に、中規模自動車メーカー8社の燃料電池関連特許件数を表2に示します。企業グループを形成している企業については、企業グループとしての特許件数も併せて示します。
表2から、韓国の現代自動車(Hyundai)とダイムラー(Daimler)以外の中規模企業にとって、FCVの自主開発までへの道のりは遠いものと推察されます。そこで、自動車メーカーが提携先候補とするであろう、著名な燃料電池企業の特許件数を表3に示します。
いずれの企業も、FCVへの取り組みが後発となっている自動車メーカーには、魅力ある特許件数となっています(関連記事:固体酸化物形燃料電池(SOFC)技術〔前編〕SOFC開発競争の動向を知財から読む)。
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