大幅改良「カローラ」の燃費を向上した新開発エンジンは「TNGAではない」:エコカー技術(2/2 ページ)
トヨタ自動車が大幅改良を行った「カローラ」は、新開発の排気量1.5lガソリンエンジン「2NR-FKE」により燃費を大幅に向上した。しかし2NR-FKEは、同社が2015年度からの導入を宣言している「Toyota New Global Architecture(TNGA)」ベースのパワートレインユニットではないという。
「2NR-FKE」は「高熱効率・低燃費エンジン群」の1つ
新開発エンジンの2NR-FKEは、トヨタ自動車が2015年4月に発表した「高熱効率・低燃費エンジン群」の1つだ。高熱効率・低燃費エンジン群では、燃費向上のために熱効率を「高める」「拡げる」ために、ハイブリッド車専用エンジンで培ってきたアトキンソンサイクル化や高圧縮比化の技術を活用している(関連記事:トヨタの新開発アトキンソンサイクルエンジン、「マツダやホンダより高性能」)。
2014年4月にマイナーチェンジした、「パッソ」の排気量1.0lガソリンエンジン「1KR-FE」(関連記事:トヨタが新型「パッソ」に自動ブレーキを搭載しない理由)や「ヴィッツ」の排気量1.3lガソリンエンジン「1NR-FKE」(関連記事:新型「ヴィッツ」のJC08モード燃費は25.0km/l、ライバル「フィット」下回る)は、高熱効率・低燃費エンジン群だ。その後2014年7月に発表した、「レクサスNX」の排気量2.0l直噴ターボエンジン「8AR-FTS」も含まれる(関連記事:「レクサスNX」の直噴ターボエンジンは「高熱効率・低燃費エンジン群」)。
今回の2NR-FKEは、名称からも分かる通りヴィッツに採用した1NR-FKEの排気量1.5l版の位置付けになる。エンジンブロックなどは1NR-FKEがベースになっているものの、吸排気系は新たに設計し直した。排気量が0.2l増えているが、チェーンカバーや鋳鉄製のブラケットをアルミニウム化するなどして1NR-FKEとほぼ同じ重量に抑えている。
圧縮比は13.5で1NR-FKEと同じ。従来の排気量1.5lガソリンエンジンである1NZ-FEが11.0(CVTモデルの場合、MTモデルは10.5)だったので、2.5も向上したことになる。平均熱効率も1NR-FKEと同じ38%を確保した。最高出力は80kW(6000rpm)、最大トルクは136Nm(4400rpm)で、出力やトルクに影響が出やすいアトキンソンサイクル化を施しているにも関わらず、1NZ-FEと比べて最高出力は同じ、最大トルクは2Nm低下するだけに抑えた。
その一方でJC08モード燃費については、カローラアクシオで比較すると、従来の1NZ-FE搭載モデルの21.4km/lから、今回の2NR-FKE搭載モデルでは9.3%向上して23.4km/lになっている(2WD/CVT、アイドリングストップシステム搭載の場合)。
これだけの性能向上を果たしていることから、2NR-FKEはトヨタ自動車が2015年度からの導入を宣言している、「Toyota New Global Architecture(TNGA)」ベースのパワートレインユニットと見る向きもあるかもしれない(関連記事:TNGAの新パワートレインは燃費を25%向上、モデル切替時の設備投資半減も達成)。しかし2NR-FKEの開発担当者によれば「2NR-FKEはTNGAではない」とのことだった。
エンジンの改良に合わせて、CVTも制御システムを最適化する形で一部改良した。振動解析による静粛性の向上、ロックアップ領域の拡大を図るとともに、従来はアイドリングストップシステムの停車時に行っていたクラッチを滑らせてエンジン負荷を減らす動作を、停車直前(時速5〜6km以下)の領域にも広げた。「JC08モード燃費では反映されないが、実用燃費に貢献する機能だ」(同社)という。
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