テーマは「デジタルと手仕事の融合」――旅するモノづくり夫婦「kuluska」:zenmono通信(3/3 ページ)
モノづくり特化型クラウドファンディングサイト「zenmono」から、モノづくりのヒントが満載のトピックスを紹介する「zenmono通信」。今回は、モノづくりユニット「kuluska(クルスカ)」の藤本夫妻にお話を伺った。
kuluskaあや氏 ワークショップを始める前、参加者の皆さんにお伝えしていることがあります。「今日集まったメンバーはチームです。たまたま出会ったけれども、ご縁があって一緒にいる。アイデアを個人的なものにしたい方もいるかも知れません。でも、それを手放した時、分かち合った時に何が起こるのかというのを含めて感じてもらいたい」という話をしています。日本の皆さんが作ったスリッパやワークショップの映像をまとめたドキュメンタリー映画が、2015年の5月に完成する予定です。完成後、日本全国をまた旅します。
enmono三木氏 革の質感のものをそれぞれの地域の人がカスタマイズしていくこと自体が、すごく愛着がわくもの。自分が生み出せる喜びが分かるような気がします。それが世界中に広まるというのが、また面白いですよね。2014年の1月から海外にも行かれているとのことですが。
kuluskaあや氏 ヨーロッパで、プレゼンテーションとワークショップをやる機会をいただきました。周りの人たちが「旅するkuluskaを応援する会」を立ち上げてくれて、私たちの旅に投資をしてくれて、「これで行ってこい」と言ってくれたんです。友だちによるクラウドファンディングみたいなものです。
enmono三木氏 すごい。
kuluska直紀氏 すごくありがたくて。『Making Living Sharing』を上映したスペインで開催された「Fab10」(第10回ファブラボ代表者会議:2014年)に参加したり、「来てもいいよ」と言ってくれたラボを中心に行きました。
kuluskaあや氏 フィレンツェで革職人さんのモノづくりを見たり、バルセロナにあるグリーンファブラボにも行くことができました。グリーンファブラボは自給自足をテーマにしたラボで、人間も動物も植物ものびのびと生きていました。もちろんエネルギーも少し使いますが、太陽光パネルで備蓄していて、使う量はコントロールされている。そいういうあり方だったり、大自然の中にぽつんとあるので、そのたたずまいにも心を揺さぶられて。私たちもこれからの社会の中でできるモノづくりを考えていきたいので、エネルギーを使うとしたら、自給自足のモノづくりをやりたいと考えています。
enmono三木氏 岡山県で新たな取り組みを展開されるそうですね。
kuluskaあや氏 岡山の倉敷にある日本初のクリエイティブリユースの拠点である「IDEA R LAB」では、企業から出る廃材などを地域の皆さんから提供していただいて活用しています。代表の大月さんとご縁があり、私たちもクリエイティブリユースの考えから廃材を活用させてもらっていたので、ワークショップに呼んでいただきました。それがきっかけで、今後もIDEA R LABのプロジェクトに関わっていくことになりました。ここでは、「グリーンファブラボ 玉島 β」の活動も始まっています。
enmono三木氏 それは興味深いです。
kuluska直紀氏 今、考えているのは、紡績が盛んだった地域で綿花を栽培して、収穫して綿を紡いで、服を作るプロジェクトです。
kuluskaあや氏 もともと地域の中に小さな産業がたくさんあって、小さな経済が動いていることで皆さんがご飯を食べることができていました。それをもう一度、地域住民の方にも関わってもらってできたら楽しいのではと思っています。
enmono三木氏 モノづくりは多くの人が関わる産業ですから、非常に面白い取り組みになりそうです。
kuluskaあや氏 小さな経済を皆が少し意識していくことで、日本のモノづくりはもっと豊かになるのではないでしょうか。地域それぞれの強みだったりつながりで、どんどん面白いものが生まれるのでは。誰でも「つくるちから」があるのです。「私にはできないかも」ではなくて「私がやりたい」と言う人が増えて、自分でつくるところへのチャレンジを一緒にできたらいいなと思っています。
enmono三木氏 「つくるちから」があることに気付いてもらいたいですね。ありがとうございました。
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