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スズキの2015年モトGP参戦車両は「コーナリングマシン」エンジンはV型から並列に(3/4 ページ)

スズキのGPチーム 技術監督を務める河内健氏が、同社が2015年から2年ぶりに復帰する「ロードレース世界選手権」に向けた新型マシン開発の裏側について語った。これまでのマシンに搭載していたV型4気筒エンジンではなく、新たに並列4気筒エンジンを開発した理由とは何だったのか。

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出した答えは“コーナリングマシン”

 河内氏が説明した、並列4気筒エンジンの特徴を大まかにまとめると、下記のようになる。

  • 直進/コーナリング時の安定性が高く、旋回性に有効
  • マシンの切り返しの操作性はV型4気筒エンジンより劣る
  • V型4気筒エンジンと比較すると、構造上の問題から出力性能では不利

 ではこの特性を受け、一体どんなマシンを開発すべきなのか。スズキが出した答えは「コーナリングマシン」だった。「並列4気筒エンジンを搭載するマシンが、モトGPでV型4気筒エンジンを搭載する車両と対等に戦い、さらに成績を上げるには、コーナリングマシンとしてのメリットを最大限に生かすしかない」(河内氏)。

 スズキはこの方針を決定した後、新型マシン開発の次のステップとして、2013年により実機に近い新たなコンセプトマシン「XRH1」を開発する。コーナリングマシンという開発コンセプトに従い、旋回時の安定性を高めるため、ヨー方向の慣性モーメントをあえてV型4気筒エンジン搭載マシンより大きく設定したという。


「東京モーターショー2013」に出展したコンセプトマシンの「XRH1」(クリックで拡大)出典:スズキ

 また、マシンを切り返す際の操作性に関係が深いロール方向の慣性モーメントに関しては、横幅を極力コンパクトにして、各部品を重心に近づけるレイアウトにすることでV型4気筒エンジンと同等に引き上げた。さらに空力性能や車体剛性のバランスの分析も行うなど、スズキはこのコンセプトマシンであるXRH1の改良と実機の開発に向けた取り組みを進めていった。

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