“妹”も生まれる「地平アイこ」、誕生の秘密:インタビュー(2/2 ページ)
東芝の開発したコミュニケーションロボット「地平アイこ」(ちひらあいこ)。自然さにこだわり、展示会では手話も披露した。産業用ロボットは以前から手掛ける同社が、なぜコミュニケーションロボットの事業化を目指すのか。
「コミュニケーションロボット」で市場を作り出せるか
――「コミュニケーション」を掲げるロボットはこれまでにも多く企画製造されてきましたが、結局、そのほとんどがワンオフの実証実験機で終わってしまい、市場を作り出すことはできませんでした。
徳田氏: 普及しなかった、市場を作れなかった原因の1つは、ロボットに対する周囲の期待が高すぎたことではないかと思います。人間と同じ動きや反応をするロボットはそう簡単に作れませんが、市場はそれを求めていたように感じます。
人間からロボットへは「好奇心」や「驚き」といった感情で近づいてくれますが、これらは持続する種類の感情ではありません。コミュニケーションには好奇心や驚きの他、癒やしや親近感などいろいろな感情が含まれますから、現在のロボットであっても、補完する何かが必要です。
次世代のヒト型ロボットは「こちらを察して、助けてくれる存在」だと考えています。そこにたどり着くにはまだ時間がかかりそうですが、「ある領域については、人間を完全に上回るヒト型ロボット」ならば作れる可能性が高くなってきました。まずはこの方向性で開発を進めていきます。
――今後の計画として「2020年を目処としたロボットの市場投入」を挙げていますが、「地平アイこ型コミュニケーションロボット」の市場投入も計画に含まれているのでしょうか。
徳田氏: 地平アイこについてはCEATEC Japanと2015 International CES、2つの展示会に出展したことで運用上の課題も洗い出しができましたので、2015年度中にはデジタルサイネージと組み合わせた案内用ロボットとして実用化する予定です。同時に、向こう2年で6体の制作を行います。
6体の設計は基本的に同じサイズで、今後手や体内の自由度を増やしながら、それ以前のモデルも最新のものにできるだけ直していきます。また、音声合成技術を導入して動きと発生の自然な融合を図ることで、「腰上人間型ロボットのプラットフォーム」としての確立を目指します。音声合成技術と連動制御の導入については主にソフトウェアの問題なので、実装に大きな問題はないと認識しています。
2020年に投入するロボットがどのようなカタチになるか、それは市場の要望次第ですね。ですが、ヒト型ロボットである以上、性格付けは大切だと思っています。個人的に地平アイこを嫉妬や冷たさのない、優しさや癒やしを持った存在としたいので、その方向でコミュニケーションをとれる存在にしていきたいと考えています。
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