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「レクサスRC」のハイブリッドモデルが日本市場だけで売られる理由今井優杏のエコカー☆進化論(16)(2/4 ページ)

初代「プリウス」が1997年に発売されてから17年。もはや特別な存在ではなくなったハイブリッド車について、新型「アルファード/ヴェルファイア」と「レクサスRC」のハイブリッドモデルから、筆者の今井優杏氏が国内市場での売れ行きを考察する。

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新型「アルファード/ヴェルファイア」試乗会で感じたこと

 というのを感じたのは、先日横浜で報道陣向けに行われた新型「アルファード/ヴェルファイア」の試乗会のときでした。

 今回、排気量2.5l(リットル)直列4気筒エンジンに無段変速機(CVT)を組み合わせたものと、同3.5lV型6気筒エンジンに電子制御トランスアクスルを組み合わせたものの他に、もちろんリダクション機構付きのフルハイブリッドシステム「THS-II」に電気式四輪駆動システム「E-Four」を組み合わせた、同2.5lのハイブリッドモデルが用意されました。


新型「アルファード/ヴェルファイア」のハイブリッドシステム
新型「アルファード/ヴェルファイア」のハイブリッドシステム(クリックで拡大) 出典:トヨタ自動車

 この組み合わせは、同社の「ハリアー」や「レクサスNX」に搭載されているのと同じシステムで、十分に熟成された信頼性の高いシステムです。

 3種類のパワートレインを乗り比べてみると、やはりハイブリッドモデルのソツのなさというか、平均点の高さに感心します。特別に感動的なほど素晴らしい! というわけではないのですが、乗り比べると「やっぱハイブリッドかも」となる図式。

 そしてもちろん、そうなることが狙いなんでしょう。モーターならではの出だしの加速が、最高級モデルでは2トンを超えるKONISHIKI級ドスコイ・ボディをラクラク、かつ静かに引っ張るので、アルファード/ヴェルファイアのクルマの性格にとてもよく合っています。

 モーターの加速がある程度のタイミングに達すると、今度はガソリンエンジンがボン、と低くうなって回り始め、モーターから引き継いだ加速をさらにシームレスに高速走行へつないでいきます。この加速の滑らかな感じはすてきです。

 排気量2.5lのガソリンエンジンだと、やはり巨体を動かすのにそれなりのパワーが必要になりますから、モタつくほどではないにしろ、エンジンを多く回さなければいけないので静粛性にやや欠けます。かといって、排気量3.5lのV6エンジンをチョイスするのはこの燃料価格が不安定な時代にあって、若干の後ろめたさを感じざるを得ません。

 乗ればやはりV6の自然吸気エンジンは、アクセルを踏み込んだ際の反応が素直で、最初からスッと背中を押されるように加速するので踏み心地はとてもイイのですが、逆に加速しきってしまって速度に乗り始めたらパワーの頭打ちを感じました。

 そこからまたグワッと再加速しようと思ったら、それこそ派手にアクセルを踏み込まなければいけません。V6エンジンの2WDモデルのカタログ燃費が9.5km/lで、ハイブリッドモデルが18.4km/lですから、日々の燃費を考えたら、ちょっとアクセルペダルに込めた力みが緩みそうな数字ではあります。

 今回追加された最高級グレード「エクスクルーシブ ラウンジ」で、V6とハイブリッドの価格差は50万円。

新型「アルファード」の最高級グレード「エクスクルーシブ ラウンジ」のハイブリッドモデル
新型「アルファード」の最高級グレード「エクスクルーシブ ラウンジ」のハイブリッドモデル(クリックで拡大) 出典:トヨタ自動車

 まあ冷静に考えたら、50万円分のガソリンを入れるのに何km走れるんだっていうことにはなります。長距離を走らない人は、実は燃費をかんがみてもV6の方が結果的に安くついた、ということにもなりかねないのです。しかし、それでもそこそこの距離を走る人にとって、そして走りに質感の高さを求める人にとって、ハイブリッドを選ぶ価値と恩恵は十二分にあるのではないでしょうか。

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