生き物に学ぶモノづくりをめぐる国際競争、日本はどうなる?
「バイオミメティクス」という言葉をご存じでしょうか。生物の持つ優れた機能を模倣して、工学や医療などのさまざまな分野に応用しようという研究分野です。身近なものでは、マジックテープもバイオミメティクスの一例です。1950年代にスイス人の発明家が、愛犬にくっついたキク科の植物であるオナモミの実がなかなか取れないことにヒントを得て開発したといわれています。
古い歴史を持つバイオミメティクスですが、日本でもさまざまなモノづくり分野への活用が進んでいます。例えば日産自動車は、魚の障害物を回避しながらも密集して泳ぐことができる性質を応用して、“ぶつからないロボットカー”「EPORO」を開発。材料分野では帝人が蝶の羽からヒント得て開発した繊維「モルフォテックス」を生み出し、ベンチャー企業であるスパイバーはクモの糸を模倣した次世代素材の量産に取り組んでいます。
このように生物学と材料や機械、ロボットなどのさまざまな分野が結び付くことで、これまでにない新たな技術や製品を生みだす可能性を持つとして注目されるバイオミメティクスですが、国際標準化機構(ISO)による規格の策定も行われています。といっても、一体何を標準化するのでしょうか。
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