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工作機械のCNC技術に新手法、加工時間を10%短縮FAニュース

三菱電機は、工作機械の工具位置を補正する新たな数値制御(CNC)技術を開発した。5軸加工機を用いた試験では加工時間を10.4%短縮できたという。CNC装置に組み込んで2016年に発売する予定。

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 三菱電機は2015年2月17日、東京都内で開催した研究開発成果披露会において、工作機械の工具位置を補正する新たな数値制御(CNC)技術を開発したと発表した。5軸加工機を用いた試験では、加工時間を10.4%短縮できたという。CNC装置に組み込んで2016年に発売する予定。

 工作機械で加工を行う場合、制御装置が指示する工具の位置(指令位置)に対して、実際の工具の位置は振動の影響などによってずれてしまう。従来のCNC装置では、その状態から指令位置との誤差を計測して、そこから指令位置にダイレクトに工具を動かすような補正のための制御を行っていた。

 このような補正制御は、それまでの工具の動きと大きく異なる方向に動かさなければないことが多い。そして、補正動作が大きくなりすぎたり、加工機に大きな振動が発生したりといった問題が発生しないように、補正制御を高速で行うことは難しかった。

今回開発したCNC技術(左)と従来技術の比較
今回開発したCNC技術(左)と従来技術の比較(クリックで拡大) 出典:三菱電機

 今回開発したCNC技術では、補正制御に新たなアルゴリズムを取り入れた。工具が指令位置まで移動する際の「工具経路」をあらかじめ推定しておき、何らかの理由で工具経路から位置ずれを起こした場合には、その工具経路に戻すようにするというものだ。この手法であれば、補正動作が小さく済ませられるので、行きすぎや振動が発生しにくくなり、精度を低下させずに工具を高速に移動できる。

 5軸制御加工機を用いたテストパターン(ターボチャージャの羽板形状)の加工時間は、従来のCNC制御の338秒から303秒に短縮できた。他の加工についても「おおむね10%程度の加工時間短縮が可能になるだろう」(三菱電機)という。また、従来のCNC制御と同じ速度で加工した場合、最大誤差を半減できるという効果も得られた。

実際に卓上加工機を使ったデモも披露された
実際に卓上加工機を使ったデモも披露された。左側の装置は従来技術のCNC装置を使っており、右側の装置は新開発のCNC装置で制御している。装置の上にある数字は加工の繰り返し回数だ(クリックで拡大)
卓上加工機を使った三菱電機の新開発CNC技術のデモ。加工対象の端部での動きに注目。新制御は滑らかに動いているが、従来制御の動きにはぎこちなさが残る(クリックすると再生)

 今回のCNC技術はほぼソフトウェア技術で実現されている。そこで、既存のCNC装置のソフトウェアをアップグレードする形で利用できないか聞いたところ、「CNC装置に一定レベル以上の処理能力が必要になるので、2016年以降に発売予定の製品に組み込む形での提供になるだろう」(三菱電機)という回答だった。

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