CERNが制御システムを64ビットLinux化、「LabVIEW」も64ビット対応版に:組み込み開発ニュース
National Instruments(NI)は、欧州原子核研究機構(CERN)と、同研究機構の全ての制御システムを64ビットLinuxで標準化する共同研究を発表した。
National Instruments(NI)は2015年1月26日(米国時間)、欧州原子核研究機構(CERN)と、同研究機構の全ての制御システムを64ビットLinuxで標準化する共同研究を発表した。
NIは、1990年代初頭からCERNと共同で、宇宙の構成要素を解明し、宇宙誕生後の状態を理解するための数々のアプリケーションの開発に取り組んできたという。例えば、大型ハドロン衝突型加速器(LHC:Large Hadron Collider)のコリメータや、イオンビームがん治療センター「MedAustron」がある。LHCのコリメータについては、NIのグラフィカルシステム開発環境「LabVIEW」を用いて、NIの計測制御プラットフォーム「PXI」約120台のに搭載されたステッピングモータの制御を行うアプリケーションを開発したとしている。
今回発表した共同研究は、CERNが研究開発に用いているさまざまな制御システムのベースOSを64ビットLinuxに標準化するためのインフラストラクチャ改善計画に基づくものだ。NIは、64ビットLinuxに対応したLabVIEWは2014年にリリースされているが、それに先立って、CERNのEngineering(EN)部門のIndustrial Controls and Engineering(ICE)グループに提供していた。
これによりCERNは、LabVIEWを用いた制御システムの64ビットLinux化の早期実現が可能になる。NIも、CERNからのフィードバックにより64ビットLinux対応版LabVIEWの品質向上を図れたという。
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