スバル「XV HYBRID」のハイブリッドシステム、開発にNIの「LabVIEW」などを活用:設計開発ツール
日本ナショナルインスツルメンツは、富士重工業がハイブリッド車「XV HYBRID」に搭載した独自のハイブリッドシステムを開発する際に、グラフィカルシステム開発環境「LabVIEW」や先端FPGAを採用した計測ハードウェア「FlexRIO」などで構成するHILS(Hardware in the Loop Simulation)システムを活用したと発表した。
日本ナショナルインスツルメンツ(日本NI)は2013年12月16日、富士重工業がハイブリッド車「XV HYBRID」に搭載した独自のハイブリッドシステムを開発する際に、グラフィカルシステム開発環境「LabVIEW」や先端FPGAを採用した計測ハードウェア「FlexRIO」などで構成するHILS(Hardware in the Loop Simulation)システムを活用したと発表した。
富士重工業とって初のハイブリッド車となるXV HYBRIDのハイブリッドシステムを開発するには、試験の規模も膨大なものになる。そこで、シミュレーション技術を利用することによりECU(電子制御ユニット)の試験を実機を使わずに繰り返し行えるHILSシステムが採用された。このHILSシステムは、日本NIが提供するLabVIEWとFlexRIO、FlexRIOのFPGA(Xilinxの「Kintex-7」)のプログラミングをハードウェア記述言語を用いずに行える「LabVIEW FPGAモジュール」である。
富士重工業のスバル技術本部HEV設計部で主事を務める森田知洋氏によれば、「ハイブリッドシステムのモーター制御の試験を、実機を使ってマニュアルで実行しようとした場合、最低でも約2300時間(約20カ月)かかる見込みだった。これを、NIのソフトウェアやハードウェアで構築したHILSシステムを活用することにより、試験時間を約118時間(約1カ月)に短縮することができた」という。
また、HILSシステムの制御レート(ループレート)が1.2μsより大きい場合、ECUがモーターに異常があると判断してしまうという課題もあった。これについては、一般的なHILSシステムに用いられているIntelのCPUと比べて、モーターの動作再現などに必要な演算処理性能でアドバンテージを持つFlexRIOのFPGAの特性を引き出すことで対応した。具体的には、IntelのCPUを用いるHILSシステムの制御レートが5μs程度になるのに対して、ECUが異常があると判断しない1.2μs以下の制御レートを実現できた。
また、HILSシステムによる試験は実機を用いないので、担当者がモーターに掛かる高電圧/大電流を気にしなくて済むという精神的負荷を軽減する効果も得られたとしている。
なお、これらの開発成果は、JSOLが2013年12月4〜5日に開催した「JMAGユーザー会2013」で発表された。
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