国内IoT市場の成長はICTプラットフォームなど上位層がけん引、多様化も進む:組み込み開発ニュース(2/2 ページ)
IDC Japanは日本国内のIoT(モノのインターネット)市場の実績と今後の成長予測を発表。国内のIoT市場は、2015〜2019年にかけて高い成長率で拡大する見通しで、特にデータ分析やセキュリティといった上位レイヤーの売上規模が顕著に成長するという。
IoT市場に参入する業種は拡大傾向に
鳥巣氏は、日本国内のIoT市場が継続的な高い成長を示す要因として、IoT市場に参入する事業者が増加している点を挙げた。同氏はその例として、2014年にIntel(インテル)がウェアラブルデバイスの開発で米国の時計メーカー「Fossil Group」と提携したことや、日本マイクロソフトと竹中工務店がIoTを活用したビル管理システムの共同開発を発表した事例など、従来とは異なる業種がIoT市場に参入し始めていることを紹介した。
この他にも、IoT市場への参入に必要なサービスコストが低下することによる参入障壁の低下や、データ分析に人工知能(AI)を活用するといった新たなテクノロジーの発展、さらIoT市場の拡大に合わせて法規制が改善されていくことなども市場の成長を後押しするという。
2015年の国内IoT市場はどう動くか
鳥巣氏は2015年の日本国内におけるIoT市場の動向についても言及した。2015年の国内市場は3つの方向への市場拡大が顕著になるという。1つ目がIoTを導入する業種の拡大だ。「これまでIoTは製造業や輸送業など、既に組み込み機器を多く利用している相性の良い業種から導入が進められてきた。しかしこうした流れは一巡したと見ており、各ベンダーはそれ以外の業種にも展開していく必要があるだろう。また、業種を問わずに手軽にIoTを実現できる、プラットフォームサービスに注目が集まると見ている」(鳥巣氏)。
一口にIoTといっても、その利用目的や収集したデータの活用方法は業種ごとに異なる。鳥巣氏は2つ目の方向性としてこうしたIoTの用途や導入目的の多様化が進むとことを挙げた。その理由ついて同氏は「もともとデータ分析に強かった企業が、IoT向けのデータ分析サービスの提供を加速させている。2015年はこうしたデータ分析サービスが充実することで、IoTを利用する目的や用途の多様化が進むと見ている。特にスマートメーターの普及や、2016年の電力小売り自由化といったトピックのあるエネルギー関連分野でのIoTの利用には注目が集まるとみている」と説明した。
IoTの導入において、取得したデータの処理をクラウド側とデバイス側のどちらで行うのかは重要なポイントになる。鳥巣氏は、3つ目の方向性としてクラウドとデバイスのどちらかだけに注力するのではなく、一貫したIoTプラットフォームを構築する重要性が高まると主張。さらに、地域を問わず、グローバルかつシームレスに利用できるIoTサービスの拡充が進むと予測した。
また鳥巣氏は、2015年の日本のIoT市場がこれら3つの方向性に拡大する中で、IoTを導入するプロセスの簡略化やコスト削減に貢献するIoTプラットフォームサービスがより重要になってくると主張した。「IoTの用途および利用地域の拡大と、導入促進をどのように進めるかが重要になる。その上でIoTプラットフォームに関するサービスの競争は激化すると考えている」(鳥巣氏)。
IoTを活用する新たなサービスの提供に向けた取り組みを推進すべき
鳥巣氏は最後に、IoTに関連する事業者への提言を述べた。IoTの活用を検討する側の事業者に対しては「多様化するプラットフォームの中から事業に最適なものを選別する必要性がある」とし、IoT関連サービスを提供する事業者には「斬新な付加価値サービスの創出を目指し、他の事業者などとの連携を推進すべき。また、顧客に対して主体的に提案を行っていく必要がある」とした。
また、長期的な提言としては、「IoT関連のグローバル団体へ積極的に参加することで、グローバル展開できるIoT関連の技術やノウハウを確立させていく必要がある。また、業界一丸となって法規制の改善に向けた取り組みを行い、これまでにない業界を横断したサービスや、個人情報を活用した新たなサービスの開発などに取り組むべきである」(鳥巣氏)と語った。
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