検索
特集

災害にロボット技術で立ち向かう、レスキューロボットの現在と未来レスキューロボット(3/3 ページ)

阪神・淡路大震災から20年。この大震災は日本国内だけでなく、世界のレスキュー活動にも影響を与えた。自ら震災を経験し、レスキューロボット開発などレスキュー工学の立ち上げに携わってきた研究者の声とは。

PC用表示 関連情報
Share
Tweet
LINE
Hatena
前のページへ |       

レスキューロボットコンテスト ―これまでの取り組みと次のステージに向けて―

 レスキューロボットコンテストは、阪神・淡路大震災が契機となってスタートした、災害救助を題材としたロボットコンテストである。地震被害にあった市街地を模擬した実験フィールドにおいて、要救助者役の人形(ダミヤンと呼ぶ)を、遠隔操縦ロボットによって安全かつ迅速に救助するのがミッションである。2000年のプレ大会から、2015年で15回目を迎える。高校生、工業高等専門学校学生、大学生がチームを組んでレスキューロボットを開発し、参加している。

photo
レスキューロボットコンテスト実行委員会 実行委員長 横小路泰義氏(神戸大学大学院工学研究科機械工学専攻 教授)

 このコンテストの4代目実行委員長を務めるのが、神戸大学大学院 工学研究科機械工学専攻 教授 横小路泰義氏だ。横小路氏は、2000〜2003年を創設期、ダミヤンや通信システムが大きく進化した2004〜2008年を技術革新期、レスコンの運営がスムースに行えるようになった2009〜2013年を安定化期と分類した。

 自身が実行委員長に就任した2014年以降を、レスコンにとってネクストステージとしており、その課題として以下の3点を挙げる。

  • レスコンの内容や魅力をもっと分かりやすく伝えていくこと

 レスコンは複数のロボットが同時に活動するので、観客にレスキュー状況を伝えるのが難しい。また、一番面白いオペレータールームの緊張感が伝えきれていないと感じているという。

photo
レスキューロボットコンテスト(通称:レスコン)概要
photo
レスコンの基本コンセプト
  • 参加のハードルを下げること

 レスコンはチーム参加の競技であり、比較的大型のロボットを複数持ち込む必要があるため、参加のハードルが高い。開催15回を迎えると、競技自体のレベルも上がってくるため、新規チームの参入がより難しくなる傾向が出てきた。参加へのハードルを下げて参加者を増やしていきたいと考えている。

  • レスコン経験者を支援すること

 コンテスト自体が目的ではなく、あくまでも社会啓発と次世代のレスキュー工学に携わるエンジニアの育成にあるためだ。

 こうした課題をクリアし、レスコンの裾野を広げていく活動を続けていきたい。そのために多くの方から支援と理解を得たいと語った。

 「ダミヤンを身近な家族と思って助けてほしい。レスコンは、実行委員会、審査員と参加者の真剣勝負。レスキューのよいアイデアを持ち込んでほしい。真剣に取り組むことが、素晴らしいパフォーマンスとなる。それが観客に感動として伝わり、レスキューに対する啓蒙活動となるだろう」(横小路氏)

photo
レスキューロボットのデモ
photo
来場者がレスキューロボットの体験操縦をしていた

 第15回大会は、6月27〜28日に神戸予選、7月4日に東京予選が開催される。本選は8月6〜9日に神戸サンボーホールで行われる。毎年併設イベントも充実しており、親子で防災について考えるきっかけにもなるだろう。まだ、レスコンを見たことがない方には、ぜひ見学してほしい。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

前のページへ |       
ページトップに戻る