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ウェアラブル、クルマ、スマートホーム――IoTの本命はどれ?IoT(2/3 ページ)

情報通信総合研究所は「IoT時代の最新動向と今後の展開〜クルマのICT化を中心に」と題した記者説明会を開催。「2015 International CES」の展示を事例として、近年注目を集めているIoT(Internet of Things:モノのインターネット)の最新動向について解説した。

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IoTの本命はクルマなのか?

 吉岡氏がIoTを本命として挙げたのが自動車だ。同氏は、「自動車の電子化に合わせて、テレマティクスや通信機能を活用するICT化も進んでいる。インターネットに常時接続される自動車=コネクテッドカーは『タイヤのついたスマートフォン』と言ってもいい。コネクテッドカーでは、さまざまな情報を自動車が受信できることではなく、いままで活用されていなかった制御システム関連などの『自動車特有の情報』を送信できることに重要な意味がある」と強調する。


CANから得られる「自動車特有の情報」
CANから得られる「自動車特有の情報」(クリックで拡大) 出典:情報通信総合研究所

 従来、車載ネットワークであるCANを介して車両内で伝送されている制御システムの情報を収集することは難しかった。しかし米国では、整備などに用いる車両診断のためのコネクタである「OBD II」の搭載が1996年から義務付けられて以降、OBD IIコネクタを使えば制御システムの情報に容易にアクセスできるようになった。米国の自動車保険会社Progressive Insuranceは、ドライバーの運転特性に関するデータを収集するデバイスをOBD IIコネクタに接続し、保険料算定に活用している。

 OBD IIコネクタの搭載義務化は、欧州で2001年、日本でも2008年から始まっている。しかし、OBD IIコネクタの制御情報の活用という意味では、欧米と日本ではまだ大きな差があると吉岡氏は指摘する。「欧州ではOBD IIコネクタから制御情報を得られるようにするための開示義務があり、米国も自動車メーカー側の自主規定によって同じように制御情報が公開されている。得られる制御情報のフォーマットも定まっているので、自動車メーカーや車種が異なっていても、その制御情報を活用する際にあまり問題は起こらない。しかし日本では、自動車メーカーが制御情報の公開に消極的なこともあって、フォーマットもメーカー、車種、年式によってバラバラ。2013年9月から国土交通省が、制御情報の共通化・統一化に乗り出したが、まだ自動車工業会と調整している段階だ」(同氏)。

 実は日本でもOBD IIコネクタの制御情報を使ったサービスが始まっている。中古車販売のガリバーによる「DRIVE+」で、OBD IIコネクタに接続した専用デバイスとスマートフォンアプリ「LINE」を連携させて、駐車時間や残燃料からの走行可能距離、鉛バッテリーの電圧などを確認できるサービスだ。サービスを始められたのは、ガリバーの豊富な中古車データベースから、さまざまなクルマについてOBD IIコネクタから制御情報のフォーマットを調べられたからだ。

 2015年のCESでアウディやダイムラー、フォルクスワーゲンが披露した自動運転車を早期に実用化するには、自動車以外の業界との連携が不可欠だ。日本が欧米に対して遅れている制御情報の共通化・統一化は、その足かせになりかねない。

2015年のCESでアウディやダイムラー、フォルクスワーゲンが披露した自動運転車
2015年のCESでアウディやダイムラー、フォルクスワーゲンが披露した自動運転車(クリックで拡大) 出典:情報通信総合研究所

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