「Tizen IVI 3.0」ベースの車載情報機器を高速起動、最終目標は5秒以下:オートモーティブワールド2015
ユビキタスは、「オートモーティブワールド2015」において、ミラクル・リナックスと共同開発を進めている車載情報機器向けLinux統合ソリューションのプロトタイプ版を披露。車載情報機器向けプラットフォーム「Tizen IVI 3.0」の高速起動を実現した。
ユビキタスは、「オートモーティブワールド2015」(2015年1月14〜16日、東京ビッグサイト)内の「第7回国際カーエレクトロニクス技術展」において、ミラクル・リナックスと共同開発を進めている車載情報機器向けLinux統合ソリューションのプロトタイプ版を披露した(関連記事:「日本の車載情報機器開発を支える」、ユビキタスとミラクル・リナックスが提携)。
このプロトタイプは、Automotive Grade Linux(AGL)がリファレンスとして採用している車載情報機器向けプラットフォーム「Tizen IVI 3.0」をベースに、ユビキタスの高速起動ミドルウェア「QuickBoot」を統合したもの。展示会場では、ルネサス エレクトロニクスの車載SoC(System on Chip)「R-Car M2」の評価ボード上で動作させていた。
この展示デモの起動時間は、Tizen IVI 3.0のウィンドウフレームを表示してHTML5ベースのUIが表示されるまでで約8秒。QuickBootを統合していないTizen IVI 3.0の場合、起動に30秒程度かかるので、約4分の1に短縮したことになる。
今後はQuickBootの最適化を進めて5秒以下の高速起動を目指す。「これに加えて、グラフィックプロセッサのドライバとのチューニングも施せば、さらなる高速起動も可能になる」(ユビキタス)という。
なおQuickBootは、JVCケンウッドや富士通テンのカーナビゲーションシステムに既に採用されている。これらのメーカーの市販品では、起動時間が7〜9秒程度になっている。
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