車載リチウムイオン電池市場が急拡大も、ハイブリッド車はニッケル水素が主力:電気自動車(2/2 ページ)
矢野経済研究所は、2012〜2020年の車載電池の市場調査結果を発表した。同調査によると、2020年の車載電池市場は、金額ベースで2012年比約8倍となる1兆4949億5500万円、容量ベースで同約19倍となる5万9543MWhに成長すると予測している。
ハイブリッド車向けニッケル水素電池の需要は衰えず
xEV向けの車載電池市場は、トヨタ自動車のハイブリッド車に広く用いられているニッケル水素電池が中核を占めていた。しかし今後は、日産自動車やホンダのようにリチウムイオン電池を採用するハイブリッド車の販売台数が増加するとともに、電気自動車やプラグインハイブリッド車の市場規模も拡大する。このため、車載電池の主流はリチウムイオン電池に移行するとみられる。調査では、欧州における排気ガス規制対応で今後の伸びが期待されているプラグインハイブリッド車向けの需要が大幅に高まるとしている(関連記事:欧州の自動車CO2排出量規制に“抜け道”あり――インフィニオンが示唆)。
今回の調査では、容量ベースでニッケル水素電池とリチウムイオン電池ごとの市場調査も行っている。2012年は、ニッケル水素電池が1599MWh、リチウムイオン電池が1516MWhとニッケル水素電池が上回っていた。しかし、電気自動車市場が成長を見せ始めた2013年には、ニッケル水素電池が1689MWhと2012年比で12%増であるのに対し、リチウムイオン電池が同約3倍となる4498MWhにまで伸びている。2014年は、ニッケル水素電池が同約45%増の2196MWh、リチウムイオン電池が同約3.6倍の5502MWhとなる見込み。2015年は、ニッケル水素電池が同78%増の2861MWhと安定成長を続けるのに対して、リチウムイオン電池は同6.3倍の約9632MWhと一段と大きな伸びになるという。2020年時点では、ニッケル水素電池が同5.3倍の8106MWhと安定成長がそのまま続き、価格低減が進むリチウムイオン電池は同約33倍の5万1437MWhまで市場が拡大すると予測している。
容量ベースでみると車載電池の主流はリチウムイオン電池に移行しているが、ニッケル水素電池も安定成長を続けている。ニッケル水素電池は基本的にハイブリッド車にのみ搭載される車載電池である以上、ハイブリッド車に限ってみれば車載電池の主流はニッケル水素電池のままだといえるだろう。
今回の調査では、容量ベースでみた搭載車種ごとのリチウムイオン電池の市場規模も出している。この中でハイブリッド車向けは、2012年が215MWh、2013年が349MWh、2014年が504MWh、2015年が764MWh、2020年が4724MWhとなっている。つまり、2020年のニッケル水素電池の市場規模は8106MWhなので、5年後も依然としてハイブリッド車の車載電池の主流がニッケル水素電池であることが分かる。
つまりこの調査は、2015年発売予定の4代目プリウスや、その後に投入される2代目「アクア」など、トヨタ自動車のハイブリッド車の車載電池にニッケル水素電池が採用され続けるという見込みが前提になっているのだ。
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