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インダストリー4.0はシステムインテグレーターに何を求めるのかインダストリー4.0概論(後編)(3/3 ページ)

「新価値創造展2014」ではインダストリー4.0をテーマとしたビジョンセミナーを開催。各界3人の有識者が登壇し、「インダストリー4.0とは何か」や「どういう価値をもたらし、どういう課題があるのか」を解説した。後編では、ピアーグループ(ドレスデン)社長のマイケル・アーノルド(Michael Arnold)氏の講演「ITソリューション企業から見た第4次産業革命」の内容をお伝えする。

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ITソリューション企業にもたらすチャンス

 従来は製造装置など機器メーカーが主導したこれらの製造現場における標準化の動きだが「スマートファクトリーの実現には、ITソリューション企業が果たさなければならない役割も増えてきており、多くのチャンスが生まれる」とアーノルド氏は協調。求められる技術的なポイントとして、以下の8つのポイントを挙げる。

  • 機器通信プロトコルの翻訳(異なるプロトコル同士の連携)
  • 既存の生産管理と共存できるプラグイン型の高度なプロセス管理
  • 標準化された水平型統合
  • 機械のプロセス管理のローカリゼーション
  • 通信接続を前提とした生産プロセスとプロダクトデザイン
  • クラウドに接続した生産の実現
  • データの統合
  • インターネットセキュリティ

 例えば、機器通信のプロトコルが自由に翻訳できるようになれば、工場にとっては、異なった環境における工場装置を接続でき柔軟性を実現できる。また、設備のセットアップの再利用が可能になり、柔軟性や効率性向上につながる。またより有効なデータ追跡が可能となり、有効な「改善」が行える。

 これらを実現するためには、短中期の観点から見るとまずは工場レベルでの実装が考えられる。異種環境に対応した装置の導入を進めたり、サプライヤーのシステムを標準的なものに統一したり、独占的な標準を持つソリューションプロバイダーを活用したりする。また長期的な視点としては、ツールレベルでの実装が求められる。十分な能力を持った新たなPLCやIPCの開発を進めていく必要がある。また部分的な標準がより広く受け入れられるようになる。

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機器通信プロトコルの翻訳が求められる工場内でのポイント(クリックで拡大)※出典:ピアーグループ

 また、サプライチェーンの水平統合を実現するには、工場のコントローラーレベルでの連携が必要になる。工場の装置レベルでのアプリケーションを統一し、またデータの収集と加工方法の統合などが必要になる。これらを実現することで、ビッグデータ分析など、新たな知見獲得が可能になるという。既に半導体産業では「SEMI PV35」などの規格も設立されている。

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水平統合を実現するシステム面でのポイント(クリックで拡大)※出典:ピアーグループ

 その他、マーケティングやプロダクトデザインとのデータ連携の実現や、クラウド技術をどのように組み合わせていくかなど「ITソリューションベンダーが活躍する場面は多く、チャンスが生まれるだろう」とアーノルド氏は話している。

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システムを連携し生産情報をクラウドと連携させるイメージ図(クリックで拡大)※出典:ピアーグループ

第4次産業革命は日本の製造業に何をもたらすのか――「インダストリー4.0が指し示す次世代工場の姿」コーナーへ

インダストリー4.0が指し示す次世代工場の姿

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