前代未聞の“仕様変更(しかも当日朝)”付きレースをどうクリアする 〜 ETロボコン2014チャンピオンシップ大会〜:ETロボコン2014(3/4 ページ)
前大会で「企画できるエンジニア」クラスが設けられ、より柔軟性を求められるようになったETロボコンだが、今回は「直前の仕様変更に耐えられる」保守運用力を要求されるクラスまで新設された。新型走行体を使ったクラスの様子まで、動画を交えて紹介する。
企業チームが上位を独占したアーキテクト部門
2回目の開催となるアーキテクト部門には10チームが出場。企業、大学、高専、高校、個人とバラエティに富んだ顔ぶれであったが、表彰台は企業チームが独占。プロの実力を見せつける形となった。
こちらのルールも前回と同様だ。パフォーマンスの持ち時間は3分間。走行体がベーシック・ステージを完走すれば、パフォーマンスを開始することができる。会場の審査員が採点する競技審査(200点)のほか、事前に企画内容を評価する企画審査(200点)もあり、この合計点で順位が決まる。
今回の優勝は「mirai craft」(富士ゼロックス)。同チームはショッピングモールで買った商品を運んでくれるシェルパロボットを提案していた。買い物は楽しいが、荷物が増えてしまうのが難点。このシステムを使えば、手ぶらで買い物ができるというわけで、非常に現実的で有用性が高いと言えるだろう。
また2位となった「追跡線隊HiICSグリーン」(日立産業制御ソリューションズ)も非常に完成度が高かった。同チームが作ったのは、ドミノ倒しのドミノを自動で設置してくれるロボット。ルートはスマホで指定でき、最後にドミノを片付けるロボットまで用意するという周到さで、審査員に「玩具店に並んでいれば買う」と言わしめたほどだ。
技術力の高さに驚いたのが3位になった「Circle of "F"」(トヨタテクニカルディベロップメント)。同チームが挑戦したのは、倒立2輪型の走行体を使った“筒乗り”。走行体で筒乗りを実現しただけでも驚きだが、さらに筒乗りのまま横方向に移動するなど、圧巻のパフォーマンスで、会場の競技審査では1位となる175点を叩き出した。
アーキテクト部門では、企画力と技術力が求められるが、上位3チームはいずれも、それを高いレベルで実現していた印象。そしてパフォーマンスをきっちり成功させているというのも重要なポイントだろう。今回の大会でも、企画は面白いものの、パフォーマンスで失敗し、ほとんど何もできなかったチームもあった。企画が良いだけに、非常にもったいなかった。
また審査員に「すごい」と思ってもらうためには、新規性が重要だ。アトラクション的なものやRPG風なものは既にあり、今後、こういったテーマでは、よほど技術的に高度なことや斬新なことをやらない限り、高得点は難しいだろう。毎年いろんなアイデアが出てくるわけで、年々、新しいことをやるのがどんどん難しくなって行きそうだが、それがアーキテクト部門の真の難しさかもしれない。
なお、その他のチームのパフォーマンスについては、YouTubeに動画をアップしておいたので、そちらを参照して欲しい(ETロボコン2014)。
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