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前代未聞の“仕様変更(しかも当日朝)”付きレースをどうクリアする 〜 ETロボコン2014チャンピオンシップ大会〜ETロボコン2014(1/4 ページ)

前大会で「企画できるエンジニア」クラスが設けられ、より柔軟性を求められるようになったETロボコンだが、今回は「直前の仕様変更に耐えられる」保守運用力を要求されるクラスまで新設された。新型走行体を使ったクラスの様子まで、動画を交えて紹介する。

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 LEGO「MINDSTORMS NXT」を使ったロボット競技会「ETソフトウェアデザインロボットコンテスト2014」(ETロボコン2014)が2014年11月19日、パシフィコ横浜にて開催された。

 2013年大会で新たに「アーキテクト部門」が開設され(関連記事:魅せる! 笑わせる! 新設「アーキテクト部門」に大注目 〜ETロボコン2013チャンピオンシップ大会〜 )、大幅にリニューアルしたETロボコンであるが、今大会も新型の走行体を使った新しいクラスが追加されるなど見どころが満載だ。それでは大会の様子をさっそくお伝えしよう。

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3輪の新たな走行体「NXTrike」。気になる性能は後ほど

2014年のETロボコンは2部門3クラス制に変更

 ETロボコンは、世界をリードするエンジニアの育成を目指して、若手や初級エンジニアの教育機会として始められた競技会である。2002年に前身の「UMLロボットコンテスト」としてスタートしており、開催は今回で13回目となる。

 もともとエンジニアの育成が目的のため、競技としてタイムレースは行うものの、単に「速ければよい」わけではないという点がちょっとユニークな点だろう。レースはレースで順位が付くものの、それとは別にソフトウェアの設計などが評価される「モデル審査」も行われ、総合力が問われる競技会なのだ。

 もう1つの特徴は、見かけはロボットの競技会であるが、実は「ソフトウェアの勝負」であるということだ。タイムレースは「走行体」と呼ばれるロボットを使うのだが、仕様は完全に決まっており、各チームで違いはない。アレンジできるのは簡単な装飾程度だ。ハードウェアに違いがない以上、結果はソフトウェアの優劣で決まる。

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色くらいは変えられるが、走行体のハードウェア性能は全く一緒

 ……というのは、実は2012年大会までの説明。2013年大会で「アーキテクト部門」が新設されたのだが、これは走行体は使うものの、タイムレースではない。一言でいえば、「企画できるエンジニア」の育成を目指す競技なのだ。

 これまでの競技は、与えられた課題をどうやって解決するかというのがテーマだった。だが現在、エンジニアには、自ら課題を見つけ出す能力も求められるようになってきている。このアーキテクト部門はそんな現状に対応したもので、各チームが自由に製品やサービスを企画して発表する。必要であれば、大道具的なセットを用意しても構わない。

 アーキテクト部門の新設に伴い、従来の競技は「デベロッパー部門」という名称で継続されているのだが、初級者向けという位置付けになったため、昨年の競技内容は従来よりも簡単になっていた。そこで今回、技術の応用力を磨くクラスとして、デベロッパー部門に追加されたのが「アドバンストクラス」である。

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デベロッパー部門が2クラスになり、今年は2部門3クラス制に

 アドバンストクラスで注目なのは、「土壇場の仕様変更」という、開発者にとってはまるで悪夢のような(そしてありがちな)事態を競技に取り入れていることだ。コース上に「仕様未確定エリア」があって、そこに障害物が設置されるのだが、レイアウトが発表されたのは当日の朝。仕様変更しやすいよう、保守運用まで考えてソフトウェアを設計する必要があるのだ。

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これが仕様未確定エリア。"仕様"が決まったのはなんと当日の朝

 そしてアドバンストクラスでは走行体として、3輪型の「NXTrike」が初めて導入された。従来の倒立2輪型と違い、バランスを取らなくても良いので簡単に見えるが、倒立2輪型のようにその場で旋回することはできない。また従来同様、ハードウェアの仕様は決まっているが、ギヤ比のみ3種類の中から選ぶことが可能になった。

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新型の走行体「NXTrike」。前輪のステアリングで方向を変える

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