IoTとビッグデータを結ぶ架け橋になりたい:製造マネジメント インタビュー(2/2 ページ)
製造業がIoTをビジネス化する上で、IoTデバイスの開発以上にハードルが高いのが、IoTデバイスから得られるビッグデータの活用だろう。ベンチャー企業のトレジャーデータは、このIoTとビッグデータを結び付けるためのデータベースサービスを製造業に提案している。同社の日本法人でマーケティング担当ディレクターを務める堀内健后氏に、取り組みの詳細を聞いた。
IoTデバイスに組み込めるデータ収集の仕組み
MONOist 製造業のIoT活用に向けて提案活動を強化しているそうですが、現時点でどういった採用事例がありますか。
堀内氏 一言でIoTといっても、製造業にとっては大まかに分けて、製品の機能向上と製造工程の効率化という2つの活用パターンがあると思います。当社としてはどちらにも活用していただきたいのですが、現時点では、製品の機能向上に対する採用事例が中心です。
日本では、2014年9月にパイオニアとの間で、テレマティクスデータの活用を目的とした業務提携を発表しています。パイオニアは、同社のカーナビゲーションシステム向けのテレマティクスサービス「スマートループ」で、各車両から収集したプローブ情報(自動車の走行履歴や各種のセンサーデータなど)から得られるリアルタイムの渋滞情報の提供などを行っています。今回の業務提携では、大量のプローブ情報を当社のサービスで効率よく分析することにより、2015年内に新たなサービスを立ち上げる計画です。
カーナビゲーションシステムなどの車載機側からデータを効率よく取り込むには、車載機を動かす組み込みOSでも軽快に動作する仕組みが必要です。この仕組みを含めて、パイオニアを共同開発を進めているところです。パイオニアと提携できたのは、IoTに対応できる技術を当社が保有していたからだと考えています。
この他に、米国ベンチャー・pebbleのスマートウオッチのデータ収集ソリューションにも採用されています。
MONOist 製造工程の効率化では採用事例はありますか。
堀内氏 製造業におけるIoT活用は、製造工程の効率化こそが本丸だろうという思いはあります。マシンデータを収集/分析することで、装置の部品交換を最適なタイミングで行ったり、品質管理などに利用できたりするはずです。まだ具体的な採用事例があるわけでありませんが、積極的に提案していきたいと思っています。
他にも、社会インフラの強靭化やスマートメーターといったセンサーデータの収集と活用でも需要があると考えています。
トレジャーデータサービスは月額課金なので、モノづくりを手掛けるベンチャー企業にとっても使いやすいはずです。このサービスを始めるきっかけとして、資金に限りのあるベンチャー企業に、従来のような大規模な投資をしなくても安価に使えるデータベースを提供したいという思いがありました。ぜひとも、モノづくりを手掛けるベンチャーに、製品の魅力を高めるという意味で使ってもらいたいですね。無料のスターターサービスもあるので、ぜひ試してみてください。
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