燃費37.0km/l達成の新型「アルト」、車重も650kgで最軽量に:エコカー技術(2/2 ページ)
スズキは、軽自動車「アルト」をフルモデルチェンジした。新プラットフォームの採用による60kgの軽量化などで37.0km/l(リットル)のJC08モード燃費を達成した(2WD/CVT搭載モデル)。これは、ハイブリッド車「アクア」と同じで、電気自動車やプラグインハイブリッド車を除いた乗用車で国内最高燃費となる。
高張力鋼板をボディの46%に採用
新プラットフォームは、骨格部を連続化させた滑らかな形状を採用。補強部品を減らし板厚も薄くすることで軽量化を実現しながら、より少ない部品で十分な剛性を確保した。高張力鋼板や超高張力鋼板をボディの重量比で46%と広範囲に採用しており、軽量化と剛性の向上につなげている。足周りでも軽量化と高剛性化を施しており、燃費性能だけでなく、剛性や静粛性、衝突性能、走行性能などの向上などに貢献しているという。
軽自動車用エンジン「R06A型」は、圧縮比の向上やEGR(排気再循環)システムの採用に加え、吸気/排気系の新設計により、低中速の動力性能と燃費性能の向上の両立させている。最高出力は38kW(6500rpm)、最大トルクは63Nm(4000rpm)。エキゾーストマニホールド一体型シリンダーヘッドの採用や触媒ケースの簡素化により、軽量化や小型化も図った。
トランスミッションは5段変速のマニュアル変速機と無段変速機(CVT)の他、軽乗用車で初設定となる独自開発の5段変速の自動マニュアル変速機「オートギヤシフト(AGS)」を選択できる。燃費37.0km/lの達成に貢献したCVTは、車両全体の軽量化に伴い変速比を最適化している。
さらに、サスペンションフレームをフラットな構造として車体骨格の一部とすることによる軽量化と高剛性化の両立に加え、シートに至るまでの軽量化の徹底により、従来モデル比で60kgの軽量化を達成した。2WD/CVT搭載モデルの車両重量は650kgとなった。2WD/MTモデルに至っては、4人乗りの軽自動車で最も軽い610kgとなっている。また、4WD/CVT搭載モデルの車両重量も700kgであり、JC08モード燃費は33.2km/lとこちらも極めて良好な値になっている。
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