PTCのIoT戦略「収集データの解析が次の最重要課題」:製造ITニュース(2/2 ページ)
IoT技術の開発・利用環境の構築ソリューション強化を進めるPTCが、次に取り組む領域や同社が提供する関連ソリューションの利用形態、IoTの利用業界の現状などについて語った。
IoT技術は次世代へ移行中
IoTの導入は、特に医療機器や重工業分野で進んでいるという。例えば医療機器にはMRIや卓上血液分析器といったものがあるが、これらは基本的に場所を移動しての利用は少ないことや、技術的にも高度であることなどから、IoT対応が向いている分野だという。ATMなどでは、カードの出し入れ部分などの破損しやすい箇所にセンサーを取り付けることで、遠隔監視して素早い対応が可能となる。
重工業メーカーについては、「第1世代のIoT技術を導入しているメーカーは多く、その場合は自社開発が多い。現在はさらに次世代システムを検討する企業も多く、PTCのプラットフォームもその検討候補に含まれている」とグレムリー氏は述べた。
移動体である自動車については無線でこそないが、一番早くIoTと呼べる技術が採用された分野だ。例えば自動車が故障した場合、ディーラーで診断装置につなげて自動車の状況を得るとともに、メーカーへもその情報が送られるという。これが自動車業界におけるIoTの第一波と呼べるものであり、現在はさらにワイヤレスへの進化も進んでいる。例えば米General Motorsが導入する車載テレマティクスサービス「オンスター」では、さまざまなセンサーが自動車に組み込まれており、事故の状況に対応する信号を得ると、自動的にそれらのデータが通知されるという仕組みを実現している。また米Tesla Motors(テスラ)の自動車も「ネットワーク接続で動いているようなものだ」(グレムリー氏)という。
さまざまなセンサーが組み込まれてドライバーの乗車体験が送信されている他に、ソフトウェアのアップデートも行われる。テスラの自動車にヒートシーターというハードウェアは用意されていたが、当初は自動車のソフトウェアが対応していなかった例も紹介した。ソフトウェアのアップデートにより、ヒートシーターが利用可能になるとともに、所有者にその情報がメールで連絡が来るという仕組みだ。
IoTを適用すべき範囲は幅広い
IoTの適用される製品は、さまざまな条件によって限定されるものではないとグレムリー氏は述べた。数が多ければコストメリットが出るというものでもなければ、製品が高額であればIoTの価値が上がるというものではない。例えばホースの故障情報を見る場合、ホース自体は高額でなくとも、それの使用される環境が高圧で沖合の油田などであれば、IoTの価値は非常に高くなる。
PTCはIoT分野ではAxedaやThingWorxを中心に積極的な投資を進めているが、同時にシステムエンジニアリングの分野に関しても、IoTと両輪で取り組んでいる。まずはモデルベースのエンジニアリングをサポートする「PTC Atego」と、ソフトウェアの要件管理や構成管理などの他コスト管理などを単一アーキテクチャをベースに提供する「PTC Integrity」の連携開発を進める。「実際のIoTとAtegoの組み合わせはもう少し先になる」(グレムリー氏)としている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 「IoTの経済効果、3Dプリンティングの約10倍」――PTCにおけるIoT戦略とは
モノ(デバイス)に限らず、さまざまなシステムとインターネットでつながれるIoTプラットフォーム「ThingWorx」は、これまでのPTC製品とは大きく異なった分野を非常に広くカバーする。広大なプラットフォームから、果たしてどのようなシステムが生まれるのか。 - 製造現場になだれ込む「モノのインターネット」と「ビッグデータ」
IoT(モノのインターネット)やビッグデータ解析の活用先としてにわかに「製造現場」への注目度が高まっている。製造業において、ICTの活用により生産性や柔軟性をもう一段高めようとするモノづくり革新の動きが活発化する一方で、これらの技術のビジネス活用を推進したいIT系企業が提案が加速。製造現場への熱気が高まっている。 - IoTはバズワードからビジネストレンドへ――インテルが米国最新事例を報告
インテルは、「第17回 組込みシステム開発技術展(ESEC2014)」(会期:2014年5月14〜16日)への出展に先立ち、傘下のマカフィー、ウインドリバーとともに、東京都内で事前記者説明会を開催。同社のIoT(Internet of Things)戦略と最新事例の紹介に加え、マカフィーとウインドリバーの製品/ソリューションを活用した新製品について発表した。