進化型メーターに使う車載マイコンの半分をスパンション製に:車載半導体 スパンション インタビュー(2/3 ページ)
富士通のマイコン/アナログ半導体事業を買収したSpansion(スパンション)は、全社売上高の35%を車載半導体事業が占めるようになった。2014年5月から車載マイコンの新製品ファミリ「Traveo(トラビオ)」を矢継ぎ早に投入するなど事業展開も加速している。そこで、スパンションの車載半導体事業を統括する赤坂伸彦氏に、注目市場や今後の製品開発の方向性などについて聞いた。
進化型メーター「デジタルクラスタ」の市場が拡大する
MONOist メーターにどういった変革が起こると見ているのか。
赤坂氏 現在の新型車には、従来の機械式メーターと、さまざまな車両情報を表示するための4〜7インチのTFTディスプレイを組み合わせた「デジタルクラスタ」が搭載されている。今後、この進化型メーターであるデジタルクラスタの搭載が急激に加速していくだろう。
デジタルクラスタのTFTディスプレイ部の絵作りを、ヘッドユニット部に組み込んだ車載情報機器のSoCで行おうという意見もある。しかし、ローエンドからミッドレンジの価格帯の車両では、デジタルクラスタ単体で全ての制御を完結させたいというニーズの方が圧倒的に強い。
そういった要望を満たすべく開発したのが、Traveoの第3弾である「S6J3200シリーズ」だ。TFTディスプレイ部の絵作りをデジタルクラスタ内で完結できるよう、車載マイコンではあるもののグラフィックスプロセッサを搭載している。
MONOist このグラフィックスプロセッサは、購入可能なIPを使わずに独自に開発したと聞いている。プロセッサコアの自社開発を行う企業は少なくなっているが、今回スパンションが自社開発に踏み切った理由は。
赤坂氏 車載情報機器用SoCに用いられているグラフィックスプロセッサは、もともとはスマートフォンなどのコンシューマ向けに開発されたものであり、デジタルクラスタのTFTディスプレイ部の絵作りには適していない。消費電力も大きい。われわれは、デジタルクラスタに求められるジャストサイズのものを必要としていたので自社で開発した。このグラフィックスプロセッサは2Dだけでなく3Dも扱える上に、外付けのDRAMも必要としない。まさに、デジタルクラスタのTFTディスプレイ部の絵作りに最適な機能を備えている。
S6J3200シリーズを中心に、2018年にはデジタルクラスタ向けマイコン市場のシェア50%を達成するのが目標だ。
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