NIが自動車向けテストシステムの事業展開を拡大、「第3のHILS」も:設計開発ツール(2/2 ページ)
計測モジュール「PXI」やグラフィカルシステム開発環境「LabVIEW」を展開するNational Instruments(NI)が、自動車向けテストシステムの事業展開を拡大している。富士重工業やコンチネンタルなど大手企業の採用を獲得すると同時に、今までにない「第3のHILS」を投入する方針だ。
コンチネンタルの採用事例
NIの製品を用いたテストシステムでは、ドイツの大手サプライヤContinental(コンチネンタル)の事例がある。同社が、顧客である自動車メーカーに提供する、ECUの生産時テストに用いるプラットフォームの構築にNI製品が採用されたのだ。
採用されたのはPXIプラットフォームと、計測アプリケーションをC言語で開発できる「LabWindows/CVI」だ。Fountain氏は、「コンチネンタルでは既にある計測ベンダーの製品を使っていたが、NIはコンペティションの際にターンキーでシステムを納入し、コンチネンタルの手を煩わせなかったことが評価された」と強調する。
「第3のHILS」とは
このように好調な自動車向けテストシステム事業だが、さらに勢いを付けるべく新製品も準備している。それが「第3のHILS」と位置付ける「DesktopHILS」である。その名通りデスクトップPCと同等サイズのHILSになる。
NIのリアルタイムテスト&HILの市場開発マネジャーを務めるMichael Hutton氏は、「HILSというと、プロセッサを1個だけ使用する単機能のものか、ラックマウントに複数のプロセッサを組み付ける大規模なものか、どちらかしかなかった。DesktopHILSは、その中間に当たる3タイプ目の製品だ」と説明する。
1個のECUに組み込まれる車載ソフトウェアの開発は10人程度のプログラマーが分担して進めている。一般的に、ECUの車載ソフトウェアは、機能ごとに幾つかのサブセクションに分かれている。車載ソフトウェアの開発を担当する1人のプログラマーが、あるサブセクションを試すためにHILSを使いたいとしよう。単機能のHILSだと、サブセクションを試験するには処理能力が不足している。一方で、高価になる大規模なHILSは多数用意されていないので1人のプログラマーが占有するわけにもいかない。しかし、そのプログラマーは、サブセクションの試験に十分な処理能力を持つHILSを占有して使いたいのが本音だろう。
DesktopHILSはこのニーズを満たす製品になるという。価格は単機能のHILSの2倍程度になるが、「需要は大きいと考えている」(Hutton氏)という。
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