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シートベルトはドライバーに何とか着用してもらうために進化したいまさら聞けない 電装部品入門(16)(3/5 ページ)

自動車の安全システムとして長い歴史を持っているのがシートベルトだ。現在は、装着するのが当たり前になっているが、ここまで来るのにさまざまないきさつやシステムの進化があった。また、衝突事故時に乗員を座席に固定するプリテンショナーをはじめ、今でも進化を続けているシステムでもある。

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バックルスイッチ/シートベルトリマインダー

 シートベルト機構に電気的な構造が採用されたのは、バックルスイッチからです。

 その機能を簡単に説明すると、シートベルトを装着していない時に、スピードメーター内に「シートベルト非装着警告灯」を点灯し、ドライバーに非装着であることを知らせます。


シートベルト非装着警告灯
シートベルト非装着警告灯

 バックル内部に電気的接点を設け、タングが挿し込まれた時点で電気的信号を送信して警告灯を消灯させるという単純な構造です。

 ただしシートベルトを意識的に装着していない人から見れば、ただいつも通り点灯しているだけなので気にしなければ何の弊害もないという現実もありました。

 そこで1994年(平成6年)に、シートベルト非装着時警報装置(初期警報)の設置が義務付けられます。これは、シートベルト非装着の状態で車速の上昇が認められた時に、警報を鳴らすと同時に非装着警告灯も点滅する機能で、シートベルトを装着しないドライバーに煩わしさを感じさせる意図がありました。ただし警報が鳴るのは最初だけで、それさえ無視すればよいため着用率向上の効果はあまり得られませんでした。

 この状況を打破するため、2005年(平成17年)に再警報装置(シートベルトリマインダー)の設置が義務付けられました。シートベルトを装着していないと定期的に警報が鳴り続けるというものであり、この警報を無視して運転を続けるのはかなり大変です。

 最近では、カーナビゲーションシステムと連動して「シートベルトを装着してください」とアナウンスを流す車両もありますね。

 エアバッグ搭載車の場合、シートベルトをしていなければエアバッグ展開時に重大なけがを負う可能性もあります(関連記事:エアバッグ展開時の衝撃力はウサイン・ボルトの全力タックルと同じ)。警報がなくてもぜひ装着してほしいですね。

 ここまでシートベルトの装着を促してもかたくなに拒む人がいます。

 そういう人は、シートベルトを装着しているように疑似的な電気的信号を送るため、バックルに挿し込むダミータング(シートベルト警告音キャンセラー)を使用している場合もあるようです。

 このダミータングは、本来はレース用の後付けシートベルトなどを装着していて、純正のバックルを使用しない人のために販売されているはずなのですが、自らを危険にさらす誤った使い方をしている典型的なパターンですね。

メーター内に表示される後部座席用シートベルトの装着状態
メーター内に表示される後部座席用シートベルトの装着状態(クリックで拡大)

 最近では運転席だけでなく、助手席や後部座席でもシートベルトリマインダーが作動します。

 これらの場合、人が着座していることを前提に作動させる必要がありますので、シートの中に着座センサーを設け、人が座っていると認識できた時点で非装着警告灯の点灯ならびにリマインダーを作動させます。

 後部座席のシートベルト着用状態をメーター内で確認できる機能を持ったクルマもあります。

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