復活2年目のダットサンブランドが目指すもの:ダットサン 事業本部長 インタビュー(2/3 ページ)
ダットサンブランドが復活した2013年、新型車である「GO」と「GO+」の評判はそう芳しいものとはいえなかった。復活から2年目となる2014年を迎え、ダットサンブランドはどのような方向性を目指そうとしているのか。「インドネシア国際モーターショー2014」の会場で、同ブランド事業本部長のヴァンサン・コベ氏に聞いた。
「夢にアクセスできる」コンセプトカー「redi-GO」を発表
そんな中、スタートから2年目に入ったばかりのダットサンは、コンセプトカーの「redi-GO」を発表した。現実的すぎた「GO」「GO+」と比べると、夢のあるコンセプトカーはメディアの反応がよく、大きな拍手も沸いたほどだ。日産自動車によれば、「インド向けの小型クロスオーバーの可能性を示唆している」とのことだったが、いかにも手頃な価格で買えるコンパクトカーといった感が否めなかった「GO」と比べて、踏ん張り感のある力強いSUV風の外観を持つ「redi-GO」は先進的なイメージを持っている。
日産自動車の執行役員で、ダットサンブランドの事業本部長を務めるヴァンサン・コベ氏に同ブランドの目指す方向性を聞いた。
「日産の中で、ダットサンブランドはエマージングミドルクラスという位置付けで展開しています。このブランドが各国に共通で持っているイメージは、機能的で、信頼性が高いというものであり、それはまさに成長する市場において求められているものだからです」(コベ氏)
「一方で、ダットサンというブランドの詳細なイメージは、各国においてかなり異なっています。例えば、米国では『フェアレディZ(240Z)』などのヒットモデルから想起されるスポーティーなイメージです。欧州では、サファリラリーで240Zが活躍したり、『ブルーバード310』で参戦したりといったことを記憶している人もたくさんいます。また英国では、運転の楽しいコンパクトなシティカーというイメージが強いなどの地域性もあります。そうしたイメージから、ダットサン復活の期待が大きかったことも感じています」(同氏)
コベ氏は、そうした期待にダットサンブランドが応えていると考えているのだろうか。同ブランドは、ASEAN以外のロシアやインドなどでも事業展開が始まっており、各国から大きな期待を持たれている。
「各国で文化が違うように、ダットサンが過去40年で築いてきたブランドイメージも国ごとに異なります。ダットサンブランドの位置付けは、あくまでエマージングミドルクラスです。2013年に、成長国で求められる都市部の若者向けのGOと、この地域(インドネシア)で支持される3列シートのGO+を投入したことは、ブランド復活に当たって成長国それぞれの地域性を鑑みたモデルをラインアップするというメッセージであり、ブランド復活の第一歩に過ぎません」(コベ氏)
「現在は、日産の店舗の一部を活用して、インドネシア全土に広くダットサンの販売網を構築しつつあり、経済成長の背景もあって販売は好調です。先週には、GOのオーナーズクラブが発足するなど、新生ダットサンへの顧客ロイヤルティーも高まりつつあります。一方で、インドネシアではクルマを買える人は全人口のわずか10%に過ぎません。また、約250万円以上の価格の車両ともなればドリームカーであり、買える人は1%未満とさらに少なくなります。だからこそ2014年のインドネシア国際モーターショーでは、より多くの人に『夢にアクセスできる』ことを感じていただけるであろうredi-GOを発表しました」(同氏)
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