検索
特集

IoT時代に向けて日本企業が克服すべき課題は「損して得を取る」ET2014 基調講演リポート(2/4 ページ)

「Embedded Technology 2014/組込み総合技術展」の基調講演に、パナソニック 全社CTO室 理事の梶本一夫氏が登壇。同氏はパナソニックのIoTに関する取り組みやIoT時代に求められるエンジニア像、日本企業の課題について語った。

PC用表示 関連情報
Share
Tweet
LINE
Hatena

複雑化する無線通信規格にどう対応するか

 梶本氏は、モノづくりの視点から見たIoTサービスの実現に向けた課題の1つとして、無線通信規格の複雑化を挙げた。「現在、IoTサービスに用いられる無線通信規格には、NFC、Bluetooth、ZigBee、Wi-Fiなどさまざまなものが混在している。

さらに、国ごとに認可周波数も違うため、状況はとても複雑になっている」(梶本氏)。

 一般的に音声や映像を伝送する場合には、周波数の高い無線通信規格が有利である。しかし、部屋の間が壁や階段などで区切られ、無線通信にとって“見通しの悪い”住宅内部では、回折性の高い低い周波数の無線通信規格を用いた方が効率が良い。日本では920MHz帯の通信仕様がARIB STD-T108の規格により、1時間当たりの通信時間は360秒以下でなくてはならないといった規格面の制約もある。また、家庭ごとに間取りもゲートウェイも異なるため、各企業はとても複雑な環境への対応が求められる。

 さらに梶本氏は、「10年以上のライフサイクルを持つ住宅の建築材料や、家電などの短期にバージョンアップを繰り返すデジタルインタフェースをどう共存させるのかも重要な課題となる。そして、モノをインターネットに接続することをユーザーが楽しいと感じるかも考慮する必要がある」と語った。

 また梶本氏は、IoTの価値を最大限に高めるためには、センサーから得たデータに対して、メタデータを付与するための標準的なルールの策定が必要であるという点も主張した。「センサーからデータを取得するだけでは何も意味がない。例えば『これは私の家のリビングのエアコンの温度センサーの情報』というように、メタデータを付与する必要がある。しかし、こうしたルールが決まっていないのが現状。ユーザーの利便性を考慮して、多くの企業と連携してルール作りを行う必要がある」(梶本氏)。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る