NEC、ビッグデータ分析で補修用在庫部品量を最適化する技術――2015年度から外販:製造ITニュース
NECとNECフィールディングは、NECのビッグデータ分析技術である「異種混合学習技術」を活用し、NECフィールディングが保有する補修用部品の需要を予測する実証実験を実施。この結果を受け同技術の社内実践を2014年度下期に開始し、2015年度から製造業向けに販売を開始する。
NECとNECフィールディングは2014年11月12日、NECのビッグデータ分析技術である「異種混合学習技術」を活用して、NECフィールディングが保有する補修用部品の需要を予測する実証実験を実施したことを発表した。
NECフィールディングは、約14万品目の補修用部品の在庫を保有しており、そのうちプリンタの駆動系部品やPC/サーバのHDDなど年に十数個以上出荷される出荷頻度が高い部品(約1万品目)については、一定量の在庫保有を行っている。今回の実証実験は、この出荷頻度が高い補修用部品を対象に、ビッグデータに混在する多数の規則性を自動で発見する「異種混合学習技術」を活用して需要を予測したものだ。
異種混合学習技術とは、NECの中央研究所が開発した、ビッグデータに混在するデータ同士の関連性から、多数の規則性を自動で発見し、分析するデータに応じて参照する規則を自動で切り替える技術。これにより、単一の規則性のみを発見し参照する従来の機械学習では分析が困難な、状況に応じて規則性が変化するデータでも、高精度な予測や異常検出が可能となる。製品の自動発注ソリューション、ビルや船舶のエネルギー需要予測などに既に活用されているという。
今回の実験では、過去14カ月間における月ごとの部品の出荷数・稼働台数・発売時からの経過月数などのデータを基に、将来の部品の需要量を予測した。その結果、予測に基づき在庫量を最適化することで、この技術を活用しない場合と比較して、在庫を約2割削減できることが確認できたという。
この結果を受け、NECフィールディングでは2014年度(2015年3月期)下期(10〜3月)から出荷頻度が高い補修用部品に対し、同技術の需要予測に基づいた在庫管理を開始する。需要量は現在から4カ月先までを予測する。また、部品の生産終了に保守停止までの必要購入数を予測する、EOL(End Of Life)品の需要予測の実証実験を実施するなど、さらなる部品の在庫削減を目指すとしている。さらに他社の保守業務の受託サービスにおいても同需要予測を活用し、サービス事業の拡大を推進していく。
一方、NECは、この補修用部品需要予測ソリューションを、2015年度(2016年3月期)から製造業向けに販売するとしている。
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