マクラーレンのサーキット専用車「P1 GTR」、購入者は世界中のF1コースで走行可能に?:ドライビングの専用トレーニングプログラムも提供
McLaren Automotiveが「McLaren P1」をベースとするサーキット専用車「McLaren P1 GTR」のコンセプトカーを日本で初公開。McLaren P1のオーナーのみに販売され、購入者には実際のF1で走行するためのトレーニングなど、さまざまなプログラムが提供される。
McLaren Automotive(マクラーレン・オートモーティブ)は2014年10月31日、東京都内で会見を開き、プラグインハイブリッドスーパーカー「McLaren P1」(以下、P1)をベースとするサーキット専用車「McLaren P1 GTR」(P1 GTR)のコンセプトカーを日本で初公開した。既に完売となった、世界全域で合計375台の限定生産モデルであるP1のオーナーのみに販売される。購入者には実際のF1で走行するためのトレーニングなど、さまざまなプログラムが提供される。
マクラーレンのF1技術を結集したサーキット専用モデル
会見にはマクラーレン P1プログラム・ディレクター 兼 マクラーレン・スペシャル・オペレーションズのエグゼクティブ・ディレクターを務めるPaul Mackenzie(ポール・マッケンジー)氏が登壇した。マッケンジー氏はP1 GTRについて「375台のP1のうち、既に150台がオーナーの手に渡っている。そのP1のオーナーのみが購入できるP1 GTRは、サーキットで走行できるマシンが欲しいという声に応えたもの」と説明する。
現在開発テストを継続しているP1 GTRは、P1と同様のシャーシを使用している。レース用に改良されたツインターボチャージャー搭載の排気量3.8l(リットル)V型8気筒エンジンと、電動モーターを搭載しており、P1と同じくハイブリットモデルだ。しかし、P1の最大出力が916psだったのに対し、P1 GTRは1000psと高められている。
P1と同様に、リアウイングには直線コースで速度性能を高めるための「ドラッグ・リダクション・システム(DRS)」を採用しているが、ウイングはより大型である。ステアリングは、2008年のフォーミュラ・ワン世界選手権レース(以下、F1)で優勝を飾ったマシンである「MP4-23」に採用されたものをベースに開発したという。また、テレメトリー装置が搭載されており、走行データを記録することも可能だ。
購入者は専用のトレーニングプログラムも
P1 GTRの購入者には「Mclaren P1 GTR ドライバー専用プログラム」が提供される。購入者は、レーシング・シミュレーターなどを用いてサーキットで走行するための事前トレーニングを行った後、専属のドライビングコーチと共に実際にサーキット上で走行練習を行うという。「ドライバーが精神、肉体の両面からP1 GTRの能力を最大限に発揮できるようになること」を目的とするこのプログラムは、各ドライバーの能力や習熟度に応じて内容が全てカスタマイズされる。
さらにP1 GTRの購入者は、実際のF1で使用されたサーキットで走行できるイベントに招待される。2015年9月〜2016年末にかけて、世界各国のサーキットを利用する走行イベントが10回開催され、P1 GTRの購入者はそのうちの6回に参加することができる。その際、各サーキットには専用のガレージに加え専属のエンジニアやドライビングコーチも準備されるという。
P1 GTRの販売は2015年2月からで、販売予定台数は30〜35台としている。正式な価格は非公開だが、車両の価格や各種イベントへの参加費などを全て含め、約3億円前後を予定しているという。
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