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中小型カラーLCD搭載のメータークラスタに最適、スパンションが「Traveo」第3弾車載半導体(1/2 ページ)

スパンションは、車載マイコン「Traveo(トラビオ)ファミリ」の第3弾製品となる「S6J3200シリーズ」を発表した。今後需要が急拡大するとみられる、4〜7インチの中小型カラー液晶ディスプレイ(LCD)を搭載するメータークラスタ向けに開発した製品である。

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会見で披露した評価ボードによるデモ

 Spansion(スパンション)は2014年10月3日、東京都内で会見を開き、車載マイコン「Traveo(トラビオ)ファミリ」の第3弾製品となる「S6J3200シリーズ」を発表した。外付けのDRAMを用いずに、WVGA(800×480画素)サイズの2D/3Dグラフィックスを処理できる機能を搭載するなど、今後需要が急拡大するとみられる、4〜7インチの中小型カラー液晶ディスプレイを搭載するメータークラスタ向けに開発した製品となっている。同年10〜12月期にサンプル出荷を始める予定。

 同社のTraveoファミリは、ARMのプロセッサコア「Cortex-R5」を搭載する車載マイコンだ。2014年5月には走行用モーターと発電用モーターの両方を1個のマイコンで制御できる第1弾製品「MB9D560」を(関連記事:スパンション、ARM Cortex-R5を搭載した車載マイコン「Traveo」を発表)、同年6月には車載LAN規格であるCANを拡張したCAN FD(Flexible Data Rate)対応コントローラを搭載する第2弾製品「S6J3100シリーズ」を発表している(関連記事:スパンションがCAN FD対応車載マイコンを出荷、セキュリティコアも搭載)。S6J3200シリーズは、これらに続く第3弾製品となる。同社のマイクロコントローラビジネス担当シニアバイスプレジデントを務める布施武司氏は、「自動車の安全・環境面で新たな要求が出始めている現在は、ディスラプティブ(破壊的)なイノベーションが起こるタイミングだ。Traveoファミリはそういったイノベーションを促進できる製品だ」と語る。

スパンションの布施武司氏(左)と2014年5月から発表している「Traveoファミリ」のラインアップ(クリックで拡大) 出典:スパンション

大衆車のメータークラスタの機能をほぼ全てカバー

 S6J3200シリーズは、アナログメーターと4〜7インチのカラー液晶ディスプレイなどから構成されるメータークラスタを制御するための機能や入出力インタフェースなどの周辺回路を1個のチップに集積したマイコンである。スパンション 自動車事業本部自動車事業部の事業部長を務める赤坂伸彦氏、「ミッドレンジからローエンドのクルマ、いわゆる大衆車に今後搭載されるであろうメータークラスタに求められる機能は、ほぼ全てS6J3200シリーズでカバーできる」と述べる。

スパンションの赤坂伸彦氏(左)と「S6J3200シリーズ」の機能(クリックで拡大) 出典:スパンション

 メインプロセッサはシングルコアのCortex-R5で最大動作周波数は240MHzだ。内蔵メモリは、プログラム格納用のフラッシュが2Mバイト、RAMが256Kバイト、グラフィックス処理用のVRAMが2Mバイト。これにA-Dコンバータなどのアナログ回路や、車載セキュリティコア「SHE(Secure Hardware Extension)」、2D/3Dのグラフィックスを処理するためのエンジン、各種車載ネットワークに対応するコントローラ回路、グラフィックスを出力するためのインタフェースなどを組み合わせた。赤坂氏は、「スパンションの車載分野における強みを全て詰め込んだ」と力を込める。

「S6J3200シリーズ」のブロックダイヤグラム
「S6J3200シリーズ」のブロックダイヤグラム(クリックで拡大) 出典:スパンション

 赤坂氏の言う車載分野における強みを代表するのが、各種車載ネットワークに対応するコントローラ回路だろう。現行の各種車載システムで用いられているCANやLIN、MOSTだけでなく、Traveoファミリの第2弾・S6J3100シリーズで採用したCANの拡張規格であるCAN FDにも対応。さらに、「将来的に車載カメラからのデータ伝送用途で広く用いられる可能性が高い」(赤坂氏)という車載イーサネットのEthernet AVBにも対応した。Ethernet AVB以外にも、デジタルRGBやLVDSといったディスプレイインタフェースも搭載している。

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